決算で明暗くっきり、日経は915円安から戻して小幅安 — マーケットブリーフィング(夕) 2026-08-07(金)
本記事は同日朝版(/market-briefing/2026-08-07)の続編で、当日の東京市場の引け後の振り返りです。
米国市場は本日夜(22:30〜)の取引のため本記事には含まれません。米国の結果は翌営業日の朝版でお伝えします。
本日の市場(8/7(金)引け)
日経平均は65,606.71円(前日比-76.55円、-0.12%)で2日続落しました。ただし前場は644円安、10時39分には915円安の64,768.25円まで売られており、そこから840円戻して引けたのが本日の形です。
一方でTOPIXは4,074.93(+19.08、+0.47%)の4日続伸。JPXプライム150も+0.65%で3日続伸でした。
★日経とTOPIXの符号が割れるのは8/6(木)に続いて2営業日連続です。指数を沈めたのは値がさの半導体で、中身では資源とバリューが買われました。
東証プライムの売買代金は10兆円台へ膨らみ、前日の9兆円台を上回りました。値上がり銘柄が値下がりを上回るのは4営業日連続です。
33業種は上昇22・下落11。上昇上位は石油・石炭製品(+4.24%)、その他製品(+3.63%)、ゴム製品(+3.03%)、非鉄金属(+2.80%)、海運業(+2.61%)でした。
下落は建設業(-1.48%)が最下位で、その他金融業(-1.39%)、証券業(-1.13%)が続きます。輸送用機器は+0.19%で21位、電気機器は-0.33%で25位にとどまりました。
日経平均への寄与では、アドバンテスト1銘柄で約381円分の押し下げ。ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、レーザーテック、富士フイルム、キオクシアHDが続きました。押し上げ首位はバンダイナムコHDの約48円分です。
★押し下げは半導体と決算失望、押し上げはゲーム・通信・内需。きれいに二分された一日でした。
朝の仮説の答え合わせ
朝版で6本の仮説を出しました。当日の東京市場で検証できるものだけを判定します(米国要因を含むものは今夜の結果待ちです)。
外れ①は「WTIが大きく動いた日でも、INPEXは当日決算のためセクター連動から外れ、鉱業(33業種)をアンダーパフォームする」。実際はINPEXが+1.13%(3,499.0円)で鉱業の+0.61%を0.52ポイント上回りました。
原因は、自分で書いた無効化条件がそのまま起きたことです。同社は26年12月期を上方修正し、年間配当を54円から108円へ倍増すると発表しました。加えて東京時間にWTIが78ドル台へ一段高となり、追い風が二重に乗っています。
★これは教訓の適用条件を誤った例です。「当日決算の銘柄は方向感を欠く」という経験則は、上方修正と増配という方向が明確な決算の前では機能しません。
外れ②は「レーザーテックは寄り付きで大きく下にギャップするが、寄り値→引け値ではプラスで終える」。実際は寄り値40,000円に対し引け値37,460円で、2,540円のマイナスでした。
前日の-7.18%と夜間PTSの下落で織り込みは進んだと読みましたが、会社予想の純利益900億円(前期比+16%)が市場予想に届かず、寄り付き後もさらに6.35%下げています。終値は**-13.55%**でした。
★「下向きの先回りは負けが込んでいるから逆に賭ける」という消去法の裏返しだったのが敗因です。理由を積まずに教訓を裏返すと、同じ失敗の鏡像になります。
的中したのは「ドル円158円台の円安でも、輸送用機器は33業種の上昇上位5に入らない」。実際は+0.19%で21位でした。
根拠は4つ積んでいました。前日すでに11位で先回りが入っていたこと、トヨタの想定為替150円に対し157→158円の限界効用が小さいこと、158円台は再介入警戒を呼ぶ水準であること、そして雇用統計前の持ち高調整日であることです。
★円安が輸出株のドライバーとして機能しなくなっている——ここが本日いちばん実用的な発見でした。
残る3本のうち、車載・産業マイコンの在庫調整完了が日本の部材メーカーに波及するかは時間軸が2〜4週間のため判定保留。米雇用統計の反応は今夜の結果待ちです。中期の経過観察は順行と判断しました。
注目銘柄5の答え合わせ
朝のピック5は方向ラベルで3勝2敗でした。夕方版では新しい5銘柄の選定は行いません。
三菱マテリアル(🔼)は5,157円のストップ高、+15.71%で寄らずの気配のまま引けました。前日発表の大幅上方修正の理由に「金属価格の上昇」と「想定以上の円安」が明記されており、選定理由がそのまま材料視された形です。翌営業日も継続して見ます。
レーザーテック(🔽)は-13.55%で方向は的中。ただし値動きの形(寄り安後の戻り)は外しました。SQ週の半導体の主役として継続します。
ソフトバンクグループ(🔽)は-2.51%で的中し、押し下げ寄与2位でした。決算材料を消化したため、翌営業日は外す予定です。
キオクシアHD(🔼)は-2.07%で外れ。ただし日中安値44,170円から3,560円戻して引けており、自社株買いの実弾が下値を拾うという読み自体は日中の値動きに表れました。翌営業日は外します。
三菱UFJ(🔼)は-0.28%で外れ、銀行業も33業種24位でした。日本の10年債利回りは2.795%へ上昇したのに銀行が売られており、金利より雇用統計前の持ち高調整が優越した格好です。翌営業日は外します。
★勝った2銘柄はいずれも個社の決算そのものが根拠、負けた2銘柄はいずれも他市場からの移植が根拠でした。決算シーズンの最終盤では、移植より個社の確定材料が強いようです。
当日の資金フローと新規ニュース
朝は「資源・エネルギーと、円安の恩恵を受ける輸出が受け皿」と読みました。前者は的中、後者は不成立です。
資金は半導体・グロース(アドバンテスト-2.25%、東京エレクトロン-1.50%、レーザーテック、エムスリー-16.89%)から抜け、資源・ゲーム・医薬品(+2.57%)・海運へ向かいました。
★想定を崩した最大の要因は、本日の決算679社の中身が業種のローテーションを上書きしたことです。個社の上方修正・下方修正のほうが業種フローより値幅を支配しました。
新規材料は3本ありました。
総務省の6月家計調査で、2人以上世帯の消費支出は実質で前年同月比-3.3%と7カ月連続の減少。市場予想の中央値がプラスだっただけに、下振れ幅は大きなものでした。企業業績は好調でも家計は縮んでいる、という乖離が数字で確認されています。
フジクラは14時に今期2度目の上方修正を発表し、27年3月期の経常利益予想を3,160億円から4,530億円へ引き上げました。理由はハイパースケーラーからの光コンポーネント受注と売価上昇です。株価は**+12.82%**、出来高は1億2,868万株に達しました。
中国の7月貿易統計は、輸出が前年同月比+23.9%で9カ月連続のプラス(6月の+27.0%からは鈍化)、貿易黒字は1,125億ドルでした。海運・機械・商社の外需にはプラス材料です。
⚠️今夜の米国市場で見るポイント
米国市場はこれから始まります。以下は結果ではなく、何を見るかの整理です。
21:30(日本時間)の米雇用統計(7月分) が最大のイベント。市場予想は非農業部門雇用者数が+8万人、失業率は4.2%で横ばいです。前哨戦の7月ADPは+4.4万人、新規失業保険申請は19.9万件でした。
11万人を超えれば10月利上げの織り込みが強まり、米長期金利上昇とドル円159円台。5万人を下回れば織り込みが後退して158円割れ、というのが分岐の目安になります。
★第2の分岐は半導体です。東京は前夜にSOXが+0.85%と反発した翌日に、電気機器が-0.33%で逆行しました。今夜のSOXが続伸すれば東京の1日だけの調整、下げれば半導体離れの3日目という読み分けになります。
第3は原油。東京時間にWTIは78ドル台へ上昇しました。イラン議会の通航禁止法案の続報が出れば上、オマーンとの新航路合意が具体化すれば下です。78ドルを終値で維持できるかが分かれ目になります。
なお8/8(土)-8/9(日)に加え、8/11(火)は山の日で東京市場は休場です。8/10(月)の1営業日を挟むだけで長い空白を跨ぐため、週末の中東・為替のヘッドラインには注意が要ります。
翌営業日への構え
★今夜の米国次第で符号が変わる部分はありますが、「米国が上がれば日本の同業も上がる」という形では構えません。寄り付きの値段でおおむね決着してしまうためです。
見るのは3点です。フジクラと三菱マテリアルが、大きく上にギャップした翌日に寄り値から引け値まで伸ばすか剥落するか。石油・石炭製品が2営業日連続で33業種の上昇上位5に入るか。そして日経とTOPIXの符号割れが3営業日連続になるかです。
3つ目が成立すれば、日経平均だけを見ていると相場を見誤る局面に入ったと言えます。
なお本記事の銘柄は売買を推奨するものではなく、注目理由の説明にとどめています。最終的な判断はご自身でお願いします。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。掲載している数値・情報は執筆時点で確認できたものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。
主要出典: 財経新聞/フィスコ「日経平均大引け」「東証業種別ランキング」「日経平均は続落、アドバンテストが1銘柄で約381円分押し下げ」(いずれも8/7)、株探「時系列株価」(各銘柄・8/7)、株探「INPEXや石油資源が高い、イラン情勢に不透明感高まりWTIは78ドル台に上昇」(8/7 15:15)、株探「フジクラが後場急動意、今期2度目となる業績予想の上方修正を発表」(8/7 14:19)、共同通信「中国、7月の輸出は24%増」、時事通信「〔米指標予測〕7月の就業者数、8万人増に加速=失業率は横ばいの4.2%」、総務省「家計調査(6月分)」