半導体だけが崩れた日、日経とTOPIXの符号が割れる — マーケットブリーフィング(夕) 2026-08-06(木)

マーケットブリーフィング半導体セクターローテーション決算

本記事は同日朝版(/market-briefing/2026-08-06)の続編で、当日の東京市場の引け後の振り返りです。

米国市場は本日夜(22:30〜)の取引のため本記事には含まれません。米国の結果は翌営業日の朝版でお伝えします。

本日の市場(8/6(木)大引け)

日経平均は**65,683.26円(前日比-617.18円/-0.93%)**で3営業日ぶりに反落しました。寄り付きは404円安、前場の終値は1,033円安、場中は一時1,300円超安まで売られて6万5,000円を割り込んでいます。

ただし後場は買いが優勢になり、安値から約640円戻して引けました。売り一巡後に押し目買いが入る形です。

ところが同じ日に、TOPIXは**4,055.85(+9.68pt/+0.24%)**で3日続伸しました。JPXプライム150も+0.31%です。

★日経平均とTOPIXの符号が割れました。これが本日いちばん重要な事実です。

東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1,125・値下がり400・変わらず26(株探15:32時点)。東証33業種は26業種が上昇し、下落は7業種にとどまりました。

★つまり本日は総崩れではなく、値がさの半導体だけが崩れて他の大半は買われた日でした。日経平均の数字だけを見ていると、相場の中身を取り違えます。

33業種の上昇率上位は繊維製品+5.35%、医薬品+2.90%、その他製品+2.61%、食料品+2.46%、水産・農林業+2.34%。下落率の下位は非鉄金属-5.62%、ガラス・土石-2.09%、電気機器-1.98%、金属製品-1.40%、情報・通信業-0.57%でした(株探15:55時点)。

日経平均の押し下げは東京エレクトロン-323.82円、ソフトバンクグループ-211.59円、アドバンテスト-190.67円、キオクシアホールディングス-130.47円の順。この4銘柄だけで約850円押し下げた計算になります。

押し上げはファーストリテイリング+162.51円、バンダイナムコホールディングス+48.07円、オムロン+29.77円が上位でした。

なお日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)は31.99(前日比-1.08/-3.27%)ですが、これは14:40時点の値です。終値は16時時点で未配信のため、確定値は明日お伝えします。

朝に立てた仮説の答え合わせ

朝版で6本の仮説を立てました。当日の引け実績で速報判定します(確定判定は明日の朝版)。

[0806-1] サンディスクが予想を上回る決算でも次期見通しが期待に届かず時間外で急落した。よってキオクシアホールディングスは日経平均をアンダーパフォームする——◎的中

キオクシアは48,740円(-5,560円/-10.24%)で、日経平均の-0.93%に9.31ポイント劣後しました。売買代金1兆6,991億円は全市場で断トツの1位です。

★ここでの学びは、自社株買いという実弾があっても守れない材料がある、という点でした。同社は8,000億円の自社株買いを10月30日まで実行中ですが、NAND価格・需要見通しそのものを否定する材料の前では効きませんでした。

[0806-2] SOX指数が5営業日ぶりに反落したので、アドバンテストは日経平均をアンダーパフォームする——◎的中

アドバンテストは32,930円(-790円/-2.34%)で日経平均に1.41ポイント劣後し、前日の押し上げ寄与1位から押し下げ寄与3位へ反転しました。

★この仮説は「SOXが下げ続けるか」ではなく「東京の引け後に起きたSOXの変化のうち、まだ東京株価に入っていない分だけ」に賭ける設計です。上昇局面で機能した設計が、下落局面でも機能したことになります。

[0806-3] 前夜の米国でヘルスケアが11セクター中2位だったので、医薬品が33業種の上昇率上位5に入る——◎的中。医薬品は2位(+2.90%)でした。

★ただし限定が付きます。朝版は素材・ヘルスケア・金融の3系統を移植候補に挙げましたが、成立したのはヘルスケアだけでした。素材に対応する非鉄金属は33業種の最下位、金融に対応する銀行業も-0.15%です。

非鉄金属は前日に+9.08%で上昇1位だった業種です。米国の追い風より、前日に買われすぎた反動のほうが強く出ました。

[0806-4] 円高の逆風が和らいだので、輸送用機器は33業種の下落率上位3に3営業日連続で入らない——◎的中。11位(+1.63%)で、むしろ上昇側に回りました。

[0806-5] 中期。13週移動平均線66,032円を終値で維持できるかが分岐——逆行。終値は348円下回りました。ただし下値メドの64,141円までは1,542円の距離があります。

[0806-6] 中期。値上がり銘柄数の優勢が3営業日続くか。本当の試金石は指数が下がる日でも優勢を保てるかどうか——順行(大幅前進)

★指数が-0.93%という日に、値上がりが値下がりの約2.8倍という形でクリアされました。物色の広がりは単日のノイズではなく、構造として扱う段階に入ったと考えます。

日経VIの30割れだけは未達(31.99・14:40時点)で、条件の一部は未成立のままです。

★速報段階の集計は◎4本、逆行1本、順行1本、外れ0本。ただし33業種の順位や騰落銘柄数は明日の確定値で入れ替わることがあるため、最終判定は明日の朝版に回します。

注目銘柄5の答え合わせ

朝版で選んだ5銘柄の方向ラベルが当たったかを確認します。結果は4勝1敗でした。

キオクシアホールディングス(短期🔽逆風)は-10.24%で的中。ただし強度は(中)としており、実際の下げ幅を過小評価しました。明日も🔽で続投しますが、10%下げた翌日は自律反発が出やすい点は割り引きます。

アドバンテスト(短期🔽逆風)は-2.34%で的中。中期の🔼追い風は「要点検」のまま維持し、続投します。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(短期🔼追い風)は3,574.0円(+33.0円/+0.93%)で的中。日経平均に1.86ポイント勝ちました。ただし銀行業の業種指数は-0.15%とマイナスで、勝ったのは個別の相対にとどまります。同業の三井住友フィナンシャルグループとの違いは、三菱UFJのほうが海外貸出と米金利への感応度が高く、米金融セクターの動きをより強く映す点です。続投します。

中外製薬(短期🔼追い風・要点検)は6,764円(+76円/+1.14%)で的中。医薬品が33業種2位という追い風にきれいに乗りました。第一三共との違いは、中外がロシュとの提携で海外ロイヤリティ比率が高く、為替と海外承認の進捗に振れやすい一方、国内薬価改定の影響は相対的に小さい点です。明日は「要点検」を外して強度を引き上げるか判断します。

外れたのはINPEX(短期🔽逆風・要点検)です。3,460.0円(+66.0円/+1.94%)と6営業日ぶりに反発しました。

★原因は想定外の新材料です。ホルムズ海峡の新航路合意という原油安材料と、フーシ派によるタンカー攻撃表明という原油高材料が同時に出て、東京時間の原油相場が小幅に反発しました。

もう一つ構造的な原因があります。私たちは「前夜のWTIが±2%以上動いた日にだけ原油の業種仮説を立てる」という条件を自分で設けていましたが、前夜の変動は-0.7%で条件未達でした。条件を書いても運用していなかったわけです。次回は条件を満たさなければ仮説を立てません。

なおINPEXは明日8/7(金)に決算を控えるため、方向ラベルを置かず一旦ピックから外します。⚠️決算前の銘柄は方向感を欠きます。

本日の資金フロー

抜けたのは半導体と電線です。キオクシア-10.24%、太陽誘電-10.98%、東京エレクトロン-5.50%、レーザーテック-7.18%、フジクラ-8.38%と、AI・半導体の値がさがまとめて売られました。

向かったのは内需・ディフェンシブです。繊維製品、医薬品、その他製品、食料品、水産・農林業がそろって上昇率上位に並びました。

★流れを一本にまとめると、昨日は前夜のSOX急騰の未反映分を追いかけて値がさハイテクに一点集中し、本日はその一点集中だけが丸ごと剥がれた、となります。

重要なのは、資金が指数から降りたのではなく指数の中で横に移動したことです。日経平均とTOPIXの符号割れも、値上がり1,125対値下がり400という数字も、すべてこの一点から説明できます。

朝の想定と違ったのは、米セクターローテの移植が3系統中1系統しか効かなかった点でした。想定を崩したのは前日に買われすぎた業種の反動です。

本日の新規ニュース

引け後の決算3社の方向が三者三様に割れました。

ソフトバンクグループは第1四半期の売上高2兆195億円(+10.9%)に対し、税引前利益5,891億円(-14.6%)、純利益3,473億円(-17.7%)。通期見通しは従来どおり非開示です。私設取引システム(PTS)では大引けからさらに約3.4%安い水準で推移しました。

任天堂は売上高5,178億円(-9.5%)ながら営業利益1,426億円と前年同期比2.5倍、純利益は+53.5%。営業利益率が9.9%から27.5%へ急改善しました。通期は据え置きで、営業利益の進捗率は38.5%です。PTSでは大引けからさらに約3.1%高い水準となりました。

レーザーテックは6月本決算で、来期会社予想を売上+25.8%・営業利益+18.8%と強気に置きました。それでも大引けは-7.18%、PTSではさらに約8.3%安い水準です。★好決算でも見通しへの期待に届かず売られる型が、ここでも繰り返されました。

上方修正も相次いでいます。JX金属が最終利益を24%上方修正、三菱マテリアルが経常利益で一転85%増益、レゾナックが最終46%上方修正、ホンダが営業利益を5,000億円から6,500億円へ。★素材の業績は強いのに株価は反動安という、業績と需給が逆を向いた日でした。

地政学では前進と後退が同時に出ました。イランとオマーンがホルムズ海峡の新航路設定で合意し、オマーンは通行料を徴収しない方針です。一方でフーシ派が紅海・アデン湾でサウジアラビアの石油タンカーを攻撃したと表明しました。

⚠️今夜の米国市場で見るポイント

米国市場はこれから始まります(NY寄り付き=22:30 JST)。結果ではなく、何を見るかを挙げます。

⚠️21:30 JST=米新規失業保険申請件数(8/1終了週・予想20.3万件/前回19.7万件)と第2四半期の労働生産性・単位労働コスト。明日の雇用統計の最後の前哨戦です。

★分岐は明快です。8/5のADP雇用が予想を大きく下回っただけに、申請件数が21万件を超えれば労働市場の減速に二つ目の裏付けが付き、金利低下を通じて明日の東京は銀行に逆風・グロースに追い風。20万件割れなら逆の絵になります。

⚠️引け後(8/7 5:05〜JST)にマイクロチップ・テクノロジーが決算を出します。今夜唯一の主要半導体銘柄です。

★注目は、好決算でも次期見通しが期待に届かず売られる型が、AMD・サンディスク・レーザーテックに続いて4例目になるかどうか。なれば明日の東京は車載・産業マイコン(ルネサス、ローム)へ波及し、半導体の逆風は3日目に入ります。

★★最大の分岐点は、本日の東京で起きた「半導体から内需・ディフェンシブへの横移動」が米国でも続くかです。前夜の米国は素材とヘルスケアが上位で情報技術は6位でした。

今夜も情報技術が下位に沈むなら、ローテーションは3日連続となり構造に格上げされます。逆にナスダックとSOXが切り返せば、本日の東京の下げは一日で終わる押し目ということになります。

寄り前にはデータドッグとコンステレーション・エナジーの決算があります。後者はAI向け電力需要の代理指標で、その反応は日本の重電・電線へ翌日波及しうる点に注意しています。

⚠️夜間のリスクはホルムズ新航路合意の正式発表の有無、タンカー攻撃の続報、そして明日の雇用統計を前にした為替のポジション調整です。

明日への構え

明日8/7(金)は、国内決算3社の答え合わせと**米雇用統計(21:30 JST)**が重なる二重イベントの日です。7月分の非農業部門雇用者数の市場予想は+10万人前後、失業率は4.2%前後とされています。

★ただしPTSでは任天堂が高く、ソフトバンクグループとレーザーテックが安いという具合に方向が割れており、日経平均への寄与は相殺されやすい構図です。指数は動かなくても中身が大きく入れ替わる日になる可能性があります。

★最大の観察点は、本日の「日経平均とTOPIXの符号割れ」が2日連続になるかどうか。同型が続けば、物色の広がりは本物と判断できます。

★今夜の米国次第で符号が変わるのは半導体です。マイクロチップの決算が失望型なら明日も逆風が続き、SOXが切り返せば本日の下げの反動高になります。この分岐は明日の朝版で正式な仮説として登録します。

なお8/11(火)は山の日で東京市場は休場、8/10(月)は通常取引です。

銘柄については売買を推奨するものではなく、注目している理由の説明にとどめています。最終的な投資判断はご自身でお願いします。


主な出典: 株探(日経平均大引け・東証業種別騰落ランキング・値上がり値下がりランキング・ストップ高安・個別銘柄株価・決算)、財経新聞(日経平均大引け・日経平均VI)、Yahoo!ファイナンス(個別銘柄の前日終値・値幅制限・PTS)、BLS(米雇用統計・週間失業保険申請の発表日程)、任天堂決算短信。

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