アドテスト8.8%高で日経2342円高、13週線を終値上抜け — マーケットブリーフィング(夕) 2026-08-05(水)

マーケットブリーフィング半導体原油・地政学決算シーズン

本記事は同日朝版(/market-briefing/2026-08-05)の続編で、当日の東京市場の引け後の振り返りです。

米国市場は本日夜(22:30〜)の取引のため本記事には含まれません。米国の結果は翌営業日の朝版でお伝えします。

本日の市場(8/5(水)・東京)

日経平均は**66,300.44円(前日比+2,342.91円/+3.66%)**と大幅続伸しました。始値64,565.27円(+607.74円)で寄り付いたあと前場中盤に66,000円台を回復し、前引けは65,861.00円(+1,903.47円)。14時時点で66,148円(+2,191円)、そこから大引けにかけてさらに上げ幅を広げ、高値圏で引けています。

朝版で上値メドに置いた13週線66,032円(7/31(金)時点)を終値で上抜けたことが、この日いちばん大きな出来事です。旧レンジ下限の64,141円は寄りから回復し、一度も割り込みませんでした。7/21(火)終値66,232.19円も上回っています。

東証プライムの値上がり銘柄数は1,023、値下がり489、変わらず40(14時時点)。33業種中23業種が上昇しました。業種別(14時50分時点)では上昇率上位が非鉄金属・ガラス土石製品・電気機器・情報通信業・金属製品、下落率上位が海運業・鉱業・倉庫運輸関連・水産農林業・電気ガス業です。日経平均VIは31.67(-2.60/-7.59%、14時05分時点)まで低下しました。

なおTOPIXの終値、プライムの大引け騰落銘柄数・売買代金、33業種の全順位は16時時点で未配信のため本記事には記載していません(推測はしません)。日経とTOPIXの符号が割れたかどうかも本日は判定できていません。ドル円は14時時点で157円65銭前後。WTI(9月限)は日本時間5日午前に一時74.20ドル台まで下げました。

朝の仮説の答え合わせ

① 半導体=当たり(◎)。朝の仮説は「SOXが+6.55%で4営業日続伸したが、その上昇は8/4(火)東京の引け(15時)より後に起きたもので、まだ東京株価に入っていない。だからアドバンテストは日経をアウトパフォームし、前日の値下がり寄与2位から押し上げ側に回る」というものでした。結果は**アドバンテスト33,720円(+2,720/+8.77%)**で、日経+3.66%を5.11ポイント上回り、日経平均寄与度は単独1位。前日の値下がり寄与2位から完全に反転しました。ここで意識していたのは「SOXの上昇が続くこと」に賭けたのではなく、「すでに起きた変化のうち、まだ株価に入っていない分」だけに賭けた点です。

② 為替=当たり(◎)。「ドル円は155円を割らず、輸送用機器は33業種の下落上位3から2営業日連続で外れる」という読みは成立しました。下落上位は海運業・鉱業・倉庫運輸関連などで、輸送用機器は入っていません。ただし個別ではトヨタが2,876円(-42.5/-1.46%、前引け時点)と指数に大きく劣後し、SUBARUは米国販売減で4-6月期最終益10%減となり後場に下げました。業種としては逆風が解けたが、個別は決算要因で別々に動いたという形です。

③ 原油安バーベル=外れ(✗)。ここが本日いちばんの反省点です。「WTIが-5.7%と急落したのだから、空運業と海運業が上昇側、鉱業・石油石炭が下落側に入る」と読みましたが、空運も海運も上昇上位に入らず、それどころか海運業は下落率上位の筆頭でした。鉱業が下落上位に入った🔽側だけが成立しています。

外れの原因ははっきりしていて、朝の時点で自分が書いていた「無効化条件」がそのまま起きたからです。無効化条件には「半導体買いが強すぎて業種順位が半導体一色になり、原油ドライバーが埋没する」と書いてありました。前夜のSOXが+6.55%、先物が大取比+1,585円という条件が揃っていた以上、これはかなりの確率で起きると事前に見積もれたはずです。無効化条件を書くだけでは足りず、その発動確率を仮説の強度に反映する必要がある、というのが今日の学びです。実際ANAは+1.65%と上昇はしており、「業種順位」ではなく「対指数相対」で検証軸を立てていれば、最初から負ける形の仮説だと分かったはずでした。

④ メモリ=部分的中(○)。「今夜ウエスタンデジタル・サンディスクの決算を控えるキオクシアは、東京エレクトロンとアドバンテストに対して相対的に劣後する」という読みは、アドバンテスト(+8.77%)には3.61ポイント劣後した一方、東京エレクトロン(+3.26%)は1.90ポイント上回り、2つ挙げた比較対象のうち片方でしか成立しませんでした。ただし値動きの質は仮説どおりで、キオクシアは始値56,000円・高値56,800円が寄り直後、安値53,400円まで6%幅で振れて54,780円(+2,690/+5.16%)引けという典型的な寄り天。決算前の方向感の欠如は形として出ています。比較対象を2つ置くと片方しか当たらない、というのは今後に効く反省です。

⑤ 水準観=順行。「64,141円を寄りで回復しても終値で維持できるかが分岐」という中期の見立ては、維持どころか13週線まで上抜ける形で前進しました。当面の下値支持は回復した64,141円、その下は26週線61,124円です。

⑥ 物色の広がり=判定を保留。値上がり1,023対値下がり489で条件は満たしていますが、大引けの確定値が未配信のため、局面の判断という重い結論は本日は出さず翌朝に回します。日経VIは低下したものの30割れには届いていません。

注目銘柄5の結果

  • アドバンテスト(6857) 33,720円(+2,720/+8.77%)。◎大当たり。前日まで半導体の中で唯一「未反映」だった銘柄という選定理由が、そのまま値幅になりました。翌営業日も継続して見ます。
  • キオクシアHD(285A) 54,780円(+2,690/+5.16%)。○。上昇方向は当たりで、強度を「弱・要点検」に下げた判断も正しかった形です。⚠️今夜の決算で方向が確定します。継続。
  • 三菱重工業(7011) 3,985円(-106/-2.59%、11時09分時点)。✗外れ。指数が+3.66%の日に逆行安でした。朝の記事に「前日+7.69%の翌日は反動が出やすい」「中東の緩和は防衛テーマの触媒を弱める」とリスクを書いていながら、方向の判断に反映できていませんでした。翌営業日は外す予定です。
  • ANA ホールディングス(9202) 3,151.0円(+51.0/+1.65%)。△。上昇はしましたが日経に約2.0ポイント劣後。原油安の追い風は、強いリスクオン局面では相対的な弱さに転じます。翌営業日は外す予定です。
  • INPEX(1605) 4日続落(終値は未取得)。○。鉱業が業種でも下落上位に入り整合しました。⚠️8/7(金)決算。継続。

強いドライバー(半導体)から取った2銘柄は揃って勝ち、弱いドライバー(原油安)から取った2銘柄は揃って負けた——これが本日の構図です。銘柄の配分をドライバーの強度に比例させるべきだった、ということになります。

当日の資金フロー

抜けた先は海運・鉱業・倉庫運輸関連・水産農林・電気ガス、向かった先は非鉄金属・ガラス土石・電気機器・情報通信・金属製品でした。前日8/4(火)が「指数はほぼ動かないが中身が広がった日」だったのに対し、本日は「中身も広がったうえで、指数寄与の大きい値がさ株がさらに突出した日」です。アドバンテスト・ソフトバンクG・イビデン・東京エレクトロンの4銘柄だけで、前引け時点の押し上げ寄与の約76%を占めました。

朝の想定と最も違ったのは原油安の受け皿です。想定は「空運・海運」でしたが、実際に効いた経路は「原油安→インフレ圧力低下→金利低下→バリュエーション改善→値がさグロース」でした。つまり地政学プレミアムが剥がれるときの第一の受益者は、原油安メリット業種ではなく金利低下の恩恵を受けるグロース株だった、ということになります。まだ1回の観察なので断定はしません。

前日に売られたソフトバンクGが本日は押し上げ寄与2位に戻り、「AIソフト対ハード」「テスタ対前工程装置」といった前日の分岐軸は1日で消えました。分岐軸は日替わりで、翌日に持ち越して仮説を立てる対象ではないということも改めて確認できます。

本日の新規ニュース

  1. IHIが今期最終を4%上方修正し最高益予想を上乗せ(13時開示)。しかし株価は朝高後に下げ転換しました。前日のトヨタに続き重工セクターで2社連続の「上方修正でも売られる」パターンで、決算シーズン後半はサプライズの閾値が上がっています。
  2. SUBARUが後場に下げに沈みました。米国販売が減少し4-6月期最終益は10%減。
  3. 日本郵船の4-6月期経常が+27%増益、今期配当を40円増額修正。JFEホールディングスは非開示だった上期最終が2.4倍増益、上期配当40円を実施と発表。ただし海運業は33業種の下落率上位で、好決算が業種の値動きを救いませんでした。

⚠️今夜の米国市場の注目点

米国市場はこれから始まります(NY寄り22:30 JST)。以下は「結果」ではなく「何を見るか」です。

  1. 米7月ADP全米雇用リポート 21:15 JST / 米7月ISM非製造業景況指数 23:00 JST。分岐条件は、ADPが下振れて金利低下となり、本日の東京と同じ「金利低下→グロース買い」が米国でも続くかどうか。今日の東京はこの経路で上げているので、今夜これが米国で否定されると、明日の東京は上値を追いにくくなります。8/7(金)の米雇用統計の前哨戦でもあります。
  2. 米引け後にウエスタンデジタル・サンディスクの決算=メモリの本命。波及先は明確で、キオクシアHD(285A)に直撃、次いで東京エレクトロン(8035)・アドバンテスト(6857)・SCREEN(7735)です。見るべきは数字そのものより、前日のAMD型(全項目で予想を上回っても期待が高く時間外で下落)になるかどうか。AMD型なら明日の東京でキオクシアは売られ、そうでなければ本日の寄り天を埋めにいく展開が想定されます。ほかにイーライリリー、ディズニー、ウーバー、CVSヘルスなども決算を発表します。
  3. 今日の東京で効いたドライバーが継続するか反転するかの分岐点は「SOXが5営業日続伸するか」。本日の東京の上昇は前夜のSOX+6.55%を追いかけたものなので、SOXが今夜失速すれば明日の東京は追いかける先を失います。
  4. 地政学。ベセント米財務長官が「きょうか明日」と言った日から数えて、本日がその「明日」にあたります。ホルムズ海峡開放の合意が実際に発表されるかが最大のヘッドラインリスクです。合意なら原油は一段安、決裂なら全戻しで、ここ3日間の上昇の一部が剥がれる可能性があります。

翌営業日(8/6(木))への構え

  • 13週線66,032円を終値で上抜けた翌日は、そのラインが下値支持に変わるかを試す展開になりやすい。維持できるかが分岐で、今夜の米国次第で符号が変わります(SOX続伸なら維持側、AMD型の失望売りなら割れ側)。
  • キオクシアは今夜の決算で方向が一方向に出やすい。本日の寄り天は「決算前の方向感の欠如」の典型で、明日は上下どちらかにはっきり振れる可能性があります。
  • 8/6(木)は日本で322社が決算を発表します(ソフトバンクG・NTT・任天堂・レーザーテック・SUMCOなど)。本日押し上げ寄与2位に回帰したソフトバンクGの決算が、AI裾野テーマの当否を決めます。広島原爆の日、30年国債入札もあります。
  • 注意点として、+3.66%の翌日は反動が出やすいこと。本日まさに三菱重工が前日+7.69%の反動で-2.59%となっており、同じことは指数にも起こりえます。

主要出典


本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。掲載している数値・情報は執筆時点で確認できたものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

当サイトで提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。 当サイトにおけるデータは、EDINET等からの情報の提供を受けております。