「幻のSQ」で日経は寄り天、TOPIXは8日続伸で最高値 — マーケットブリーフィング(夕) 2026-08-14(金)
本記事は同日朝版(/market-briefing/2026-08-14)の続編で、当日の東京市場の引け後の振り返りです。
米国市場は本日夜(22:30〜)の取引のため本記事には含まれません。米国の結果は翌営業日の朝版でお伝えします。
本日の東京市場(8/14(金)引け)
日経平均は**68,713.80円(+405.21/+0.59%)**で4日続伸。始値68,811.17円、高値69,608.24円(9時39分)、安値68,471.15円。日中は一時1,299円高まで買われ、7/13(月)以来およそ1カ月ぶりに69,000円台を回復しました。
TOPIXは**4,197.20(+21.16/+0.51%)**で8営業日続伸。終値ベースで連日の最高値更新となりました。前場には初めて4,200ポイント台に乗せ、取引時間中の最高値も3日連続で塗り替えています。
★注目すべきは8月限オプションSQです。SQ値は69,702.13円(前日終値比+1,393.54円)で算出されましたが、終値はこれを988.33円も下回りました。
いわゆる「幻のSQ」で、7/10(金)のマイナーSQ(SQ値69,171.55円に対し終値68,557.73円)に続き2回連続。寄り付きで需給が完結し、その後の買い手が細ったことを示しています。
東証プライムの売買代金は10兆3,156億円、売買高は24億4,900万株。値上がり1,119銘柄に対し値下がり404銘柄で、ストップ高は18銘柄、ストップ安は3銘柄でした。
33業種は19業種が上昇。上位はその他製品+5.12%、海運業+3.20%、鉱業+2.21%、情報・通信業+2.16%、水産・農林業+1.65%。下位は医薬品-0.77%、証券・商品先物-0.75%、サービス業-0.69%、非鉄金属-0.63%、保険業-0.52%でした。
日経平均ボラティリティー指数は30.96(-0.69)。30超えは3営業日連続ですが、株価上昇とVI低下の組み合わせに戻りました。
朝の仮説の即日判定
★本日の速報判定は**◎3・判定保留2・中期経過観察1**でした。確定判定は8/17(月)の朝版で行います。
[0814-1] ◎的中。仮説は「SQ算出日。日経平均は上にギャップして始まった後、寄り値→引け値でマイナスになる(寄り天)。想定ギャップ幅は+300〜600円。判定は引け値−寄り値で行い、前日終値比では判定しない」。
実際は寄り68,811.17円→引け68,713.80円で**-97.37円**。ギャップは+502.58円と想定レンジのほぼ中央でした。
★根拠として挙げた「SQは寄り付きで需給が完結する」は、寄与度の形でそのまま観測できました。SQ算出時(寄り値ベース)の寄与度はアドバンテスト+581.67円、東京エレクトロン+204.15円、キオクシアHD+87.06円。それが大引けでは+224.46円、-34.19円、+45.52円へと縮み、東京エレクトロンは符号まで反転しています。
なお日中高値をつけたのは9時39分、寄りから39分後。8/13(木)も寄りから36分後に高値をつけており、2営業日連続で同じ形が出ました。
[0814-2] ◎的中。仮説は「キオクシアHD(285A)は東京エレクトロン(8035)をアウトパフォームする。米半導体高→日本の半導体高という連動には賭けず、メモリと前工程装置の感応度の差だけを検証対象にする」。
実際はキオクシア+3.75%、東エレク-0.57%で差は+4.32ポイント。
★ただし内実は「メモリが買われた」より「装置がより深く剥落した」でした。キオクシアも寄り55,510円→引け53,740円と-3.19%削られており、寄り天という点では東エレク(-3.85%)と同じです。差がついたのは剥落の深さでした。
[0814-4] ◎的中。仮説は「8/13(木)に33業種の上昇率1位だった銀行業は、本日は上昇率上位5に入らない。日銀利上げ→銀行高の継続には賭けず、1位が2日目に続かない側に賭ける」。
実際の銀行業は**-0.30%**で、上位5に入らないどころか下落しました。三井住友FG±0.00%に対し三菱UFJ-0.62%、みずほFG-1.77%と、8/13(木)の「地銀まで全面高」からメガバンクが崩れる形に変わっています。
[0814-3]と[0807-4]は判定保留。「株価の当日騰落では判定しない」設計の中期仮説で、中間確認日は9/4(金)と8/21(金)です。
[0814-5]の中期経過観察は5条件中4つが順行。TOPIXの8営業日続伸、値上がり優勢、6/25高値までの戻り率(-5.61%→-5.05%)、売買代金10兆円台の維持が順行。VIの30割れ回帰だけが未達です。
注目銘柄5の答え合わせ
★本日の結果は**◎2・✗3**でした。夕方版では新規5銘柄の選定は行いません。
キオクシアHD(285A)🔼=◎。終値53,740円(+1,940/+3.75%)。売買代金2兆4,500億円は市場全体の約24%を1銘柄で集めた計算です。ただし寄りから引けまでは-3.19%で、朝の材料を寄りで使い切る形は他の値がさと変わりませんでした。
東京エレクトロン(8035)🔽=◎。終値59,130円(-340/-0.57%)。朝版では「寄り天型で、引けまでの継続は前提にしない」と書きましたが、想定より強く出ました。
★一方で読み違えた点も。「アプライドマテリアルズの出尽くしを受けるのは前工程装置」と考えましたが、実際に深く売られたのはレーザーテック-4.12%、イビデン-3.59%、東京応化-3.39%。工程の近さより「同じくらい買い上げられていたか」が効いています。
三井住友FG(8316)🔽=✗。終値6,969円で前日比ちょうど±0円。下げなかった以上、方向は成立していません。ただし業種(-0.30%)と三菱UFJ(-0.62%)には優越しており、朝版が書いた「三菱UFJより浅い下げ」という同業比較は当たっていました。
ブリヂストン(5108)🔽=✗。終値4,133円(+0.10%)。ゴム製品業種も+0.53%で上昇側でした。
★原因は解釈ミスです。朝版は「原油の1日の反落はタイヤ原価を数四半期は変えない」としてコスト面から追い風を打ち消しましたが、市場は素直に原油安メリットを買いました。同業の横浜ゴムが+2.94%だったのに対し+0.10%という「相対的な弱さ」だけが当たった形です。
三菱マテリアル(5711)🔼=✗。終値5,170円(-140/-2.64%)。始値5,300円がそのまま高値という完全な寄り天でした。非鉄金属は-0.63%で下落ワースト4位。金価格の続落という逆風が、製錬と加工事業のクッションを上回っています。同業の住友金属鉱山-2.42%より深い下げで、「下値が浅い」という同業比較も逆に出ました。
★週明けの扱いは、キオクシアHDと東京エレクトロンを継続、三菱マテリアルとブリヂストンを外す方向で検討します。三井住友FGは8/17(月)のGDP速報を見てから符号を決めます。
当日の資金フロー
一言でいえば「SQの寄り付きで半導体・値がさに資金が集中し、そこが天井。引けにかけて資金は決算で動いた中小型と、ゲーム・通信・海運へ広がった」という一日でした。
入った先の第一は決算による中小型です。ストップ高18銘柄のうち、メドレー+22.97%、ライフドリンクカンパニー+20.17%、ネクソン+19.85%、Appier+15.27%が並びました。アシックスは今期経常の15%上方修正を受けて+10.81%。
第二はその他製品と情報・通信。任天堂+6.91%、コナミ+3.56%、バンダイナムコHD+3.48%、ソニー+5.73%、ソフトバンクグループ+2.94%、NEC+5.10%。★半導体から抜けた資金の受け皿が「ゲーム・エンタメ・通信」だった点は、8/10(月)以降の「非鉄→銀行→AI実弾→機械」という流れとは別系統です。
第三は海運と資源。川崎汽船+4.36%、商船三井+3.06%、日本郵船+3.04%、INPEX+2.22%、出光興産+1.83%。WTI原油が東京時間に82.77ドル(+1.87%)へ反発したことが効いています。
抜けたのは半導体の「装置・検査・基板・材料」でした。買われたのはアドバンテスト+2.59%(連日の最高値更新)とキオクシアだけで、イビデン、レーザーテック、東京応化、レゾナック-3.15%は売られています。
★半導体を一括で買う局面は終わり、テスタとメモリだけが残る選別局面に入ったことが、東京でも確認できた一日でした。
金融と医薬も抜けました。中外製薬-3.37%、大塚HD-3.26%、日本取引所グループ-1.97%、東京海上HD-1.08%。銀行業を含め、8/13(木)の主役がそろって反落しています。
★朝の想定と違ったのは原油の扱いです。原油の材料をコスト面(遅行)だけで読み、市場が当日の連想で消化する面を軽視しました。
本日の新規ニュース
ネクソン(3659)がストップ高。+500.5円(+19.85%)の3,022円。前日引け後の決算が好感されました。日経平均への寄与度は+33.56円。同じく前日引け後決算のAppier(4180)も+15.27%でストップ高です。
トレンドマイクロ(4704)がストップ安。-1,000円(-14.60%)の5,851円。日経平均への寄与度は-33.52円で下位4位。決算を材料に上下両面が同時に出た一日でした。
アシックス(7936)が+10.81%。今期経常を15%上方修正して最高益予想を上乗せし、配当も6円増額しました。同日には日機装(+13.16%)、シチズンも業績・配当予想の上方修正を発表しています。
⚠️今夜の米国市場の注目点
米国市場はこれから始まります(NY寄り付き22:30 JST)。以下は結果ではなく「何を見るか」です。
⚠️米7月小売売上高(21:30)。市場予想は前月比+0.3%(前回+0.2%)、自動車を除くコアは+0.2%(前回-0.2%)。
★分岐点は明確です。上振れれば「粘る消費」として9月利上げ確率が再び上昇し、銀行に追い風・長期グロースに逆風。下振れれば「利上げできない相場」が延命し、ハイテク優位が続きます。本日の東京で銀行が売られた前提が正しかったかの答え合わせにもなります。
⚠️米8月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報(23:00)。予想54.2(前回55.2)。本体より期待インフレ率の項目が、9月FOMC(9/15-16)の織り込みに効きます。同時刻に米6月企業在庫(予想+0.2%)。
★アプライドマテリアルズの正規セッションでの決着。時間外で-2.5〜3.1%となった反応が、通常取引でも維持されるか買い戻されるかが最大の分岐点です。
★売られ続ければ、本日の東エレク・レーザーテック・イビデンの短期的な逆風は週明けも生きます。逆に買い戻されれば、2026年の装置市場見通しを+20%→+30%へ引き上げたという中期の材料が優越します。
★メモリ勢が2日目も突出するか。8/13(木)はサンディスク+13.67%、ウエスタンデジタル+7.31%、マイクロン+4.23%と一斉高でした。2日目に息切れするなら、キオクシアの寄り天は週明けも繰り返す可能性があります。
夜間の地政学と為替。WTIは東京時間に82.77ドル(+1.87%)へ反発し、中東情勢は未解決のままです。ドル円は159.25円と前日比でやや円高に振れ、160円の介入警戒ゾーンからは距離ができました。米10年債利回りは4.647%。
主要決算は今夜ありません。次はホームデポ8/18(火)、アナログ・デバイセズとターゲット8/19(水)、ウォルマート8/20(木)。★エヌビディアの決算日程は8/26(水)の米国引け後、日本時間では8/27(木)早朝と確定しました。
16時台の米株先物はNYダウ先物53,901(-0.06%)、ナスダック100のCFDが-0.09%、S&P500のCFDが+0.01%。ほぼ中立で、今夜の方向は先物からは読めません。
週明け(8/17(月))への構え
★最大のイベントは8/17(月)8:50の日本4-6月期GDP速報値です。市場予想は前期比+0.4%、年率+1.7%。
これは米国とは独立に効く東京発の材料です。上振れれば日銀9月会合(9/17-18)の織り込みが強まり、本日下落した銀行業が反転しうる。下振れれば銀行の反落が続きます。
★もう一つ、8/17(月)は韓国が開放記念日で休場です。SKハイニックスやサムスン電子という当日の手掛かりがない日で、メモリ株の値決めが日本単独になります。キオクシアの値動きから「韓国連鎖」の要素が抜けるため、日本側固有の需給がどれだけ効くかを観測する好機です。
仮説の芽としては、本日の寄り天がSQという需給の切れ目によるものなら、週明けには同じ形が出ないはずだ、という点があります。逆に月曜も「寄り後30〜40分で高値→引けにかけて削る」形が出るなら、原因はSQではなく上値の重さそのものです。
★なお「今夜の米国が上がれば週明けの日本も上がる」とは書きません。同方向の連動は寄り付きのギャップで決着してしまうためです。見るべきは、ギャップの後に伸ばす銘柄と剥落する銘柄の差がどこから来るか。本日は売買代金が厚い銘柄ほど剥落幅も大きい形が出ました。
主要出典
- 株探(かぶたん): 個別の四本値・売買代金・騰落率ランキング・ストップ高安(2026-08-14 15:30〜15:56)
- my株「東証33業種別株価指数」(2026-08-14 15:30時点)
- nikkei225jp.com「SQ値」「寄与度ランキング」「恐怖指数」「225先物」「経済スケジュール」(同日15:30〜16:15)
- BigGoファイナンス(2026-08-14)・日本経済新聞(2026-08-14)の東京市場関連記事
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