日米が28年ぶり円買い協調介入、ドル円157円台 — マーケットブリーフィング 2026-08-03(月)
⚠️ 持ち越し注意(本日〜今週)
- ★日米共同声明の発表 8/3(月)(時刻未定)。片山財務相が一連の為替介入について対応を表明する見通し
- ★米イラン協議の開始 8/3(月)午後(現地)。トランプ大統領がイランへの追加攻撃見送りと協議開始を表明
- ⚠️米7月ISM製造業景気指数 8/3(月)23:00(前回53.3)。22:45に米7月製造業PMI確報、23:00に米6月建設支出。カナダ市場は休場
- ⚠️本日の日本株は83社が決算発表。三菱UFJ・日産自動車・伊藤忠商事・丸紅・三菱商事・JAL・塩野義製薬・エーザイ・大和証券Gなど
- ⚠️米決算 8/3(月)=パランティア、ONセミコンダクター/8/4(火)=AMD、スペースX(ロックアップ解除も)/8/5(水)=ウエスタンデジタル、サンディスク(メモリの本命)
- ⚠️⚠️米雇用統計(7月分)8/7(金)21:30=今週。米CPI(7月分)8/12(水)21:30、米PCE(7月分)8/26(水)21:30
- ジャクソンホール会議 8/27(木)-29(土)(講演者・議長講演の日時は未確認)
センチメント
日経VI 29.38(7/31(金)終値・前日比-10.41/-26.16%)。ただし14:20時点は37.81で日中高値は38.96、安値29.21。配信元は「取引終了時に低下幅を広げた」と記しており、日中の大半は37〜39台で警戒感は解けていませんでした。30割れは引け際の一点にすぎず、「恐怖の終了」とは読めません。CNN Fear & Greed は43(Fear)(7/31(金)時点・前週39から改善)、VIXは16.1(週間-13%)。
前日仮説の検証(7/31(金)実績・確定判定)
- [0731-1]「円買い介入で約4円の円高。輸出関連が対日経で劣後し、小売・食品・電力ガス・陸運など内需/輸入コスト低下の受益が33業種の上昇側に入る。トヨタは下押しが続く」→ 実際: 輸送用機器-2.84%(下落5位)・トヨタ-1.89%は的中。しかし**電気機器+6.15%(上昇2位)・機械+2.95%(上昇5位)**と輸出の一角が真逆で、受け皿と想定した内需が総崩れ(医薬品-4.20%・陸運-3.27%・小売-2.67%)。→ 判定 ✗外れ。原因は(a)韓国発の半導体爆騰が為替軸を上書き、(b)円が東京時間に160円台へ戻し前提が薄れたこと。学び=リスクオン反転時、退避先は「受け皿」ではなく「資金の出し手」になります。
- [0731-3]「米メモリ株の急騰を受け、キオクシアは決算前でも買い先行し対日経でアウトパフォームする」→ 実際: 46,500円(+17.72%)でストップ高買い気配のまま売買不成立。→ 判定 ◎的中。決算では最大8,000億円(発行済株式の5.5%)の自社株買いと1対3の株式分割を発表しました。
- [0731-4]「SOX+8.19%を受けて半導体は続伸で寄るが、円高の逆風で上げ幅は前夜のSOXに対し大きく減衰する」→ 実際: アドバンテスト+16.34%(SOXの2倍)、日経半導体株指数+11.24%と、減衰どころか増幅。→ 判定 ✗外れ。KOSPIが+17.91%と日次上昇率で史上最大を記録したことが増幅要因でした。★そして重要なのは、その増幅が同じ7/31(金)夜の米国で追認されなかったことです(後述)。
- [0731-2] 日銀の1.0%据置と会見で方向が出る → ○部分的中(据置・銀行業+1.84%は的中。ただし会見のタカ派発言は大引け後で、効果は海外時間の円高として出た)。
- [0731-5] 日経とTOPIXの逆行 → 無効化条件に到達(同方向に1%超)。ただし値上がり銘柄は39%どまりで、「指数と銘柄の乖離」という本質は未解消。
- [0731-6] 下値メドの経過観察 → 順行。終値64,362.02で防衛線61,923.60も上値抵抗64,141も上抜けました。
主要ニュース
1. 日米が28年ぶりの円買い協調介入。ドル円は157円台へ 政府・日銀は7/30(木)から8/1(土)にかけて断続的に市場介入を実施し、7/31(金)には日米が協調介入に踏み切りました。円買い局面での協調介入は1998年6月以来28年ぶり、協調介入自体は2011年3月以来15年ぶりです。ニューヨーク連銀は米大手銀にユーロ円のレートチェックを実施。英FTは「ユーロ売り・円買い介入」と報じ、ロイターはベッセント財務長官のメモに50億〜100億ドル(約7,900億〜1兆6,000億円)の円買いを示唆する記載があったと伝えました。ドル円は8/3(月)7:13に一時157.02円。トランプ大統領は「円相場への米国の介入は友好の証だった」と述べています。影響=🔽輸出・円安メリット株/🔼輸入コスト低下(空運・小売・食品・電力ガス)。
2. 中東が急転緩和。WTIは時間外で-6.91% トランプ大統領がイランへの追加攻撃を見送り、「イランとの新たな交渉が月曜日の午後に始まる」と表明。7/30(木)の報復空爆から一転しました。WTIは7/31(金)NY終値が+1.29%だったところから、8/3(月)7:01時点の時間外で78.82ドル(-5.85/-6.91%)へ急落。影響=🔽鉱業・石油石炭・海運/🔼空運・ゴム・陸運・電力。
3. 米国はアジアの半導体爆騰を追認せず、「AIは買うがメモリは利食い」 7/31(金)の米国市場でSOXは11,311.07(+8.09/+0.07%)とほぼ横ばい。マイクロン-5.90%、サンディスク-5.09%、AMD-1.90%とメモリ・半導体は反落した一方、**アマゾン+15.32%、アルファベット+6.88%、エヌビディア+2.93%**とAIプラットフォームが買われました。前日にKOSPI+17.91%・日経半導体株指数+11.24%まで増幅した動きは、米国では引き継がれませんでした。
4. アップルが-7.35% 4-6月期は過去最高益だったものの、サービス部門と中国売上が予想に届かず、7-9月期の売上見通し+9〜11%も市場予想(+12%)を下回りました。
過去の類似局面(為替の協調介入)
直接の先例は1998年6月17日の日米協調介入です。1997年11月から続いた日本単独の介入では円安が止まらず、約7カ月で146円まで進行しましたが、協調介入が実現するとわずか2営業日で10円以上の円高に押し戻しました(当時の日本の介入額は2,312億円)。ただし円高への反転は2営業日目がピークで、その後じりじりと円安が再開し、約2カ月後には協調介入前の水準を更新しています。今回との最大の違いは、当時の日本が金融危機下でゼロ金利直前の緩和方向だったのに対し、今回は日銀が利上げ路線にある点です(次回会合は9/17(木)-18(金))。過去の事例は将来を保証するものではありません。
資金フロー
7/31(金)の東京は、7月を通じて続いた「AI半導体 → 内需・ディフェンシブへの退避」が1日で丸ごと巻き戻された日でした。向かった先は非鉄金属+9.29%・電気機器+6.15%・ガラス土石+4.01%、抜けた側は医薬品-4.20%・不動産-3.30%・陸運-3.27%。ただし値上がり銘柄は39%どまり、売買代金は10兆1,069億円(概算)と前日の12兆6,645億円から減少しており、新規資金ではなく「退避先を売って半導体に振り替えた」ゼロサム的な移動でした。
問題は、その原資化が同じ夜の米国で追認されなかったことです。米国ではメモリ株が反落し、資金はAIプラットフォームへ向かいました。米S&P500の週間セクターは11業種中4業種のみ上昇で、首位は一般消費財+6.1%、最下位は公益-4.2%、半導体は週間-4.2%。日本でも本日は「半導体内部での選別」と「売られすぎた内需の戻り」が同時に起きる可能性があります。なお東証33業種の"週間"騰落率は無料ソースで確認できず、今回は取得不可です。
前日の日本市場(7/31(金))
日経平均は64,362.02円(+2,494.59/+4.03%)と大幅続伸、日中高値は65,364.73(10:22)。TOPIXは4,003.30(+50.80/+1.29%)。ただし上げ幅の約93%は上位5銘柄(アドバンテスト+1,101.80円、ソフトバンクG+513.29円ほか)が作ったもので、値上がり銘柄は39%にとどまりました。週間では前週末比249円安の小反落で、13週移動平均線66,032円は超えられず、26週移動平均線61,124円はほぼ維持しています。
米国市場(7/31(金))
**ダウ52,485.03(+276.97/+0.53%)、S&P500 7,489.72(+52.09/+0.70%)、ナスダック25,373.86(+251.68/+1.00%)。SOXは11,311.07(+8.09/+0.07%)**とほぼ横ばいでした。アマゾンの好決算で投資家心理が改善した一方、米10年債利回りが上昇(ウォーシュFRB議長のインフレ抑制姿勢に対する市場の信認後退が背景との指摘)し、日中は一時マイナス圏に沈む場面も。CME日経平均先物は63,310円(大証終値比-410円)でした。アジアでは7/31(金)にKOSPIが6,595.45(+17.91%)と日次上昇率で史上最大を記録(SKハイニックス+29.95%でストップ高、サムスン電子+26.81%)。ただし7月月間ではKOSPIは-22%です。
為替
ドル円は8/3(月)7:10時点で157.50円前後、7:13に一時157.02円。先週末の安値157.28円を下抜けました。7/31(金)東京16:21の160.46円からは約3円の円高で、ドル指数は6/17(水)以来の低水準です。
注目銘柄5
キオクシアHD(285A)🔼追い風(中・要点検) — 中期は中国CXMTのメモリ供給拡大とNAND価格ピークアウト懸念で逆風が続きますが、短期は最大8,000億円=発行済株式の5.5%(3,000万株)の自社株買いが本日8/3(月)から10/30(金)まで実行されるという強い需給材料が加わりました(1対3の株式分割は基準日9/30(水))。7/31(金)はストップ高買い気配で値がつかず、本日の寄りが決算に対する最初の値決めになります。感応度は極めて高く、純NAND大手としてスポット価格に直結する一本足。同業のソニーGはゲーム・音楽・イメージセンサーに分散し通期上方修正も済ませており、同じメモリ材料でも2桁動くのはキオクシアだけです。効く時間軸は当日〜数四半期。⚠️7-9月期の純利益見通しが事前の市場予想平均を下回ったとの報道があり、失速リスクは残ります。
三菱UFJ(8306)🔼追い風(弱・要点検) — 日銀の追加利上げ路線(市場の織り込みは12月100%・10月87%)が中期の追い風。7/31(金)の植田総裁会見16:02の「完全な基調2%定着を確認しなければ動けないということはない」という早期利上げ余地の示唆は大引け後だったため、株価には本日以降に効きます。米10年債利回りの上昇も金利上昇方向。金利が本業コアで感応度は高く、同業の三井住友FGとほぼ連動しますが、三菱UFJは海外・市場部門の比率が高く、協調介入による円高では下振れ余地も大きい点が違います。効く時間軸は当日〜数カ月。⚠️本日8/3(月)に決算。
日本航空(9201)🔼追い風(中) — 原油急落と円高という2つのコスト要因が同時に好転しました。7/31(金)は日経+4.03%の日に-1.19%と明確な逆行安。航空会社のコストは燃料・機材リース・整備などドル建て比率が高く、原油安×円高は二重の追い風です。過去、原油ドライバーの業種バーベルは米国夜間の値動きが翌日の東京に出るパターンが4回続いており、7/30(木)の「鉱業が上昇5位・空運が下落5位」の逆回転を見る観測点になります。同業のANAとはほぼ連動しますが、JALは本日決算、ANAは今週の予定表に名前がなく日程未確認で、業績の裏付け(または否定)が先に出るのはJALです。効く時間軸は当日〜数週間。⚠️本日8/3(月)に決算。協議が決裂すれば原油が急反発する片側リスクあり。
アドバンテスト(6857)🔽逆風(中・要点検) — 中期の推論向けAI半導体テスト需要(通期営業利益を6,275億→8,460億円へ上方修正)は生きていますが、短期の論点は**「アジアが増幅した分の剥落」**に変わりました。7/31(金)の+16.34%は前夜のSOX+8.19%の2倍で、KOSPI+17.91%の増幅に乗った部分が大きく、その増幅は同夜の米国に追認されていません。1銘柄で日経の上げ幅の44%を作った集中は、上下両方向に効きます。海外売上比率が高く157円台の円高も逆風。同業の東京エレクトロンは中国の液浸DUV内製化という固有の逆風を別に負いますが、増幅の剥落局面では上げ幅が大きかったアドバンテストの方が反落幅も大きくなりやすい点が違います。効く時間軸は当日〜数四半期。
トヨタ自動車(7203)🔽逆風(強) — 「想定為替150円 vs 実勢163円台」という業績上振れの根拠が、単独介入から協調介入へと進むなかで157円台まで消えました。7/29(水)に+7.18%で輸送用機器を33業種トップへ押し上げた前提が、わずか4営業日で反転した形です。7/31(金)の下落理由は円高というより「半導体へ資金を出す側になった」ことでしたが、本日は円高そのものが効くという逆風の中身の入れ替わりが観測点。海外売上比率が高く円安が営業利益に直結する感応度の高さは変わりません。同業のSUBARUは北米一本足で為替感応度が極端に高く、円高局面ではSUBARUの下落の方が大きく、トヨタは相対的に下値が堅い傾向です。効く時間軸は数日〜数四半期。⚠️8/4(火)に決算(前日は連動が切れて方向感を欠きやすい点に注意)。
上値余地・下値リスク
- キオクシア: 目標株価はみんかぶ93,531円(6/19(金)設定)ですが、その後の値動きで陳腐化・使用不可。下値リスクは上場来高値112,700円から約-59%の位置(46,500円時点)。
- 三菱UFJ: UBS3,900円(設定日未確認)・みんかぶ3,130円(5/29(金))はいずれも株価が目標を超えており陳腐化・使用不可。予想PER14倍台/PBR1.66倍で補足します。
- JAL: 目標株価は取得不可。
- アドバンテスト: みんかぶ平均35,395円(7/27(月)時点)は上方修正前の設定のため「保守的下限」。終値32,500円が接近しており、目標が更新されるまで上値余地の数字は使いません。
- トヨタ: 目標株価は取得不可。予想PER12.8倍・実績PBR1.05倍(7/29(水)時点)でPBR1倍近辺。
- 指数の水準: 上値メドは13週移動平均線66,032円(7/31(金)時点)。下値は64,141円を終値で割れたら26週線61,124円、次いで7/28(火)安値60,448.90円。
本日・今週の注目イベント(日本時間)
- 8/3(月) 日米共同声明(時刻未定)/7月新車販売14:00/米7月ISM製造業23:00/米製造業PMI確報22:45/米6月建設支出23:00/カナダ休場/米決算=パランティア、ONセミコンダクター、バーテックス、マリオット/日本の決算83社=三菱UFJ、日産自、伊藤忠、丸紅、三菱商事、JAL、塩野義、エーザイほか
- 8/4(火) 7月マネタリーベース8:50/ファストリの7月ユニクロ売上速報/10年国債入札/米6月貿易収支21:30・JOLTS23:00/米決算=AMD、スペースX、キャタピラー、メルク、ファイザー、マクドナルド/日本の決算89社=トヨタ、三菱重、日本製鉄、三井物産、イビデン、川崎汽船、SB
- 8/5(水) 日銀金融政策決定会合議事要旨8:50/米ADP雇用統計21:15・米ISM非製造業23:00/米決算=ウエスタンデジタル、サンディスク、イーライリリー、ディズニー/日本の決算178社=ホンダ、スズキ、SUBARU、ローム、太陽誘電、IHI、アステラス、郵船
- 8/6(木) 広島原爆の日/30年国債入札/日本の決算322社=ソフトバンクG、NTT、任天堂、レーザーテック、コクサイエレ、SUMCO、JX金属
- ⚠️8/7(金) 米雇用統計(7月分)21:30/6月景気動向指数14:00/6月全世帯家計調査8:30/GPIF 4-6月期運用状況/H3ロケット9号機打ち上げ/中国7月貿易収支/日本の決算672社=INPEX、フジクラ、リクルート、KDDI、三井不動産、商船三井
- 8/9(日) 中国7月CPI・PPI 10:30
- ⚠️8/12(水) 米CPI(7月分)21:30 / 8/26(水) 米PCE(7月分)21:30 / 8/27(木)-29(土) ジャクソンホール会議
銘柄はいずれも売買を推奨するものではなく、注目する理由の説明にとどめています。最終的な判断はご自身でお願いします。
主要出典: みんかぶFX(米国株概況・NY原油時間外・東京為替)/時事通信・朝日新聞・NHK(日米協調介入)/日本経済新聞(協調介入の位置づけ・韓国株)/フィスコ(日経VI大引け)/株探ニュース(週末コメント・今週の重要イベント・今週の決算発表予定)/ロイター・Newsweek日本版(キオクシアの自社株買い・株式分割)/マネクリ(1998年の日米協調介入)/Bloomberg・tradingkey(KOSPI・SKハイニックス・サムスン電子)
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。掲載している数値・情報は執筆時点で確認できたものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。