日経2494円高でも値下がり922銘柄、半導体一極集中の急反発 — マーケットブリーフィング(夕) 2026-07-31(金)

マーケットブリーフィング半導体日銀韓国市場

本記事は同日朝版(/market-briefing/2026-07-31)の続編で、当日の東京市場の引け後の振り返りです。

米国市場は本日夜(22:30〜)の取引のため本記事には含まれません。米国の結果は翌営業日の朝版でお伝えします。

本日の市場(7/31(金)引け)

  • 日経平均 64,362.02円(+2,494.59円/+4.03%) 大幅続伸。一時3,400円超高で6万5,000円台を回復(日中高値の水準は報道により幅があります)。
  • TOPIX 4,003.30pt(+50.80pt/+1.29%) で4営業日ぶりの4,000pt回復。7/29(水)・7/30(木)と2日続いた「日経とTOPIXの符号の逆転」は解消しましたが、上昇率には3倍超の開きがあります。
  • 東証プライム 値上がり612銘柄(約39%)/値下がり922銘柄/変わらず24銘柄(16:11時点の大引け集計)=値下がりのほうが大幅に多い「指数だけが上がった日」売買代金は概算10兆1,069億円で前日の12兆6,645億円から減少しました。
  • 33業種は値上がり15/値下がり18。上昇上位=非鉄金属+9.29%・電気機器+6.15%・ガラス土石+4.01%、下落上位=医薬品-4.20%・不動産業-3.30%・陸運業-3.27%
  • ストップ高33銘柄・ストップ安1銘柄。寄与度はアドバンテスト+1,101.80円、ソフトバンクG+513.29円、東京エレクトロン+327.85円、イビデン+201.13円、キオクシア+164.26円=上位5銘柄で+2,308円=上げ幅の約93%
  • 日経VI 29.38(-10.41/-26.16%・15:50大引)。30を割り込み「買い場シグナル」の水準から外れましたが、15:39には38.96をつけており引け値だけで判断するのは早計です。ドル円は16:21時点で160.46円で、7/30(木)の急落の半値戻し(160.86円)の手前です。

朝の仮説の即日判定

朝版の6本を当日の引け実績で速報判定します。結論から言えば、この日は朝の読みが最も外れた日でした

[1] ✗外れ。仮説は「円買い介入による約4円の円高で、輸送用機器・機械・電気機器など輸出関連が対日経で劣後し、小売・食品・電力ガス・陸運など内需の受益が33業種の上昇側に入る。トヨタは下押しが続く」。輸送用機器-2.84%(下落5位)とトヨタ-1.89%は的中しましたが、**電気機器+6.15%(上昇2位)・機械+2.95%(同5位)**と輸出関連の一角が真逆に。さらに受け皿と想定した内需側が総崩れで、**陸運-3.27%・小売-2.67%・医薬品-4.20%**とむしろ下落上位を占めました。原因は(a)想定外の新材料=韓国発の半導体爆騰が為替という軸を上書きしたこと、(b)解釈ミス=円が東京時間に半値戻しし「円高」の前提が薄れたこと。最大の学びは、リスクオンへ反転した局面では内需・ディフェンシブが資金の"受け皿"ではなく"出し手(原資)"になる点です。

[2] ○部分的中。「日銀は1.0%据置が公算。据置は織り込み済みなので方向は15:30の総裁会見で出る。タカ派の示唆があれば銀行は前日の巻き戻しから切り返す」→1.0%据置(8対1)で正午の反応は限定的、銀行業+1.84%で33業種上昇6位と切り返し。ただし上昇は会見前に起きており(タカ派発言は大引け後の16:02)、会見の株価への効果は週明けへの持ち越しです。

[3] ◎的中。仮説は「キオクシアの1Q決算は引け後だが、米でメモリ株が総じて急騰したため、日中は決算前でも買い先行で対日経アウトパフォームする」。実際は46,500円(+7,000円/+17.72%)のストップ高買い気配のまま売買不成立、94万2,400株の買い注文を残しました。「同日決算の銘柄はセクター連動から外れる」という従来の経験則に、「外部の同業株が2桁急騰した局面では持ち高調整より外部連動が優越する」という条件を追加できた一件です。

[4] ✗外れ。仮説は「前夜のSOX+8.19%を受けて半導体は続伸で寄るが、円高159円台という輸出採算の逆風があるため、アドバンテスト・東京エレクトロンの上げ幅はSOXの伸びに対し大きく減衰する」。実際は**アドバンテスト+16.34%(SOXの2倍)、東京エレクトロン+6.24%、日経半導体株指数+11.24%**と、減衰どころか増幅でした。原因は韓国市場の爆騰です。朝は「KOSPIは3日続落でSOXと符号が割れており、アジア時間の増幅は期待しにくい」と読んでいましたが、その前提が当日朝に180度反転しました。過去3回、韓国との連動は下落方向でしか観測していなかったため、無意識に「増幅は下向きに起きるもの」と非対称に扱っていたのが誤りです。増幅は上下対称です。

[5] 順行と逆行の両面。「日経とTOPIXの符号逆転が続く限り日経の方向はトレンドの意味を持たない。両指数が同方向に1%超動けば無効化」→条件に到達。ただし**「指数と銘柄の乖離」という本質はむしろ極大化**しており、符号が揃っただけでは「材料が全体に効く局面」への移行とは言えません。

[6] 順行(回復条件を達成)。「終値で61,923.60円を回復すれば下値探索を一旦終了。上値抵抗は64,141円」→終値64,362.02円は両方の水準を上抜け、旧レンジ内に復帰。次は上値メドの再設定が課題です。

注目銘柄5の答え合わせ

朝に挙げた5銘柄の答え合わせです(新規の銘柄選定は行いません)。

アドバンテスト(6857)🔼 → 32,500円(+4,565/+16.34%)で◎。寄与+1,101.80円は当日の上げ幅の44%。同業の東京エレクトロン(+6.24%)より振れ幅が大きいのは、前工程装置全般に分散する同社に対しアドバンテストがAI向けテスターに一点集中しているためで、この構図は不変です。続投

キオクシアHD(285A)🔼要点検 → +17.72%のストップ高買い気配で◎。ただし売買が成立していないため、決算の本当の評価は週明けの寄りで初めて出ます続投(最優先)

タムロン(7740)🔼 → 1,438円(+4/+0.28%)で方向のみ、実質は外れ。日経に約3.8pt劣後。ソニーグループによる買収提案の価格に株価が張り付き市場全体から切り離された形で、資金フローを読む観測点としての役割は終えたと判断し除外

トヨタ自動車(7203)🔽 → 3,067.0円(-59.0/-1.89%)で◎。ただし逆風の中身は朝の想定(円高)と異なり、実際は半導体へ資金を出す側になったのが主因。続投

三菱UFJ(8306)🔽 → 3,571.0円(+46.0/+1.30%)で✗外れ。全体の急反発と日銀の利上げ路線維持が効きました。ただし日経+4.03%には劣後し、総裁会見のタカ派発言も大引け後のため続投

当日の資金フロー

7月を通じて続いた「AI半導体から内需・ディフェンシブへの退避」が、1日で丸ごと巻き戻された日でした。向かった先は非鉄金属・電気機器・ガラス土石・証券・機械・銀行、抜けた側は医薬品・不動産・陸運・輸送用機器・小売と東証REIT指数(-2.10%)です。ただし新しい資金が入って全体が上がったわけではありません。値下がりが922と値上がり612を大きく上回り、売買代金も前日から減少しました。つまり退避先を売って半導体に振り替えた、ゼロサム的な資金移動です。

朝の想定を崩したのは(1)韓国市場の想定外の増幅、(2)円の半値戻し。単日のノイズか構造的な転換かは、今夜の米国が追認するか、週明けも半導体が買われるかで決まります

本日の新規ニュース

1. キオクシアHDが1Q決算を発表(15:30)。売上収益1兆7,671億円(前年同期比5.2倍)、営業利益1兆2,700億円(同28倍)、売上営業利益率71.9%(前年同期13.1%、前四半期59.5%)。非開示だった上期(4-9月)予想を新規開示し最終利益2兆1,121億円(同36倍)としましたが、通期予想は引き続き非開示。同時に**株式分割(1株→3株、基準日9/30(水))**を決議しました。

2. 日銀が政策金利1.0%を据え置き(8対1)。展望レポートでは2026年度の成長率見通しを0.6%へ上方修正する一方、物価見通しは下方修正。植田総裁は会見で「物価見通しは上振れリスクのほうが大きい」としつつ、為替や介入への直接の言及は避けました。16:02の「完全な基調2%定着を確認しなければ動けないということはない」との発言を受け、ドル円は16:04に一時160円を割り込んでいます。

3. 韓国KOSPIが+17.91%(6,595.45)と日次上昇率で史上最大を記録。SKハイニックスは+29.95%でストップ高(終値ベースでは2003年4月以来)、サムスン電子も+28.26%。7月に一時-34%まで売られた反動が巻き戻された形です。

なお村田製作所がデータセンター向け部品需要で通期営業利益を3,800億円→4,300億円へ上方修正、パナソニックHDも41年ぶりのQ1最高益で通期上方修正と、ともにストップ高。コニカミノルタはストップ安でした。

⚠️今夜の米国市場の注目点

米国市場はこれから始まります(NY寄り22:30 JST)。結果ではなく「何を見るか」です。

1. 経済指標(日本時間)。21:30 米雇用コスト指数Q2(予想+0.8%・前回+0.9%)、22:45 シカゴPMI(予想56.0)、23:00 ミシガン大消費者信頼感確報(予想54.0)。インフレの大型指標は今夜ありません。米6月PCEは7/30(木)に発表済み(前年比+3.7%)で、次回7月分は8/26(水)21:30です。

2. 決算。今夜の米市場寄り前はシェブロン・エクソンモービル・アッヴィで、AI・半導体の新材料が出る構成ではありません。本命は8/4(火)引け後のAMDと8/5(水)引け後のWDです。

3. 最大の分岐点は、今日の東京・韓国の爆騰を米国が「追認」するか「利食い」するか。上げの起点は前夜の米国(SOX+8.19%)でしたが、それをアジアがKOSPI+17.91%・日経半導体株指数+11.24%へ増幅しました。見る場所は**(i)SOXが前日の11,302.98から上か下か、(ii)メモリ株が2日連続で2桁高を続けられるか、(iii)SKハイニックス・サムスンの米国預託証券の反応**。アップルが7/30(木)の決算で「AI需要による供給逼迫でメモリー・部品コストが上昇している」と述べた点は、メモリ株には強気材料の裏返しにあたります。

4. 為替。ドル円160.46円は7/30(木)の値幅(157.98〜163.74円)の半値戻し水準に張り付いています。今夜161円台へ抜ければ追加介入への警戒が一段と高まり、逆に総裁会見のタカ派発言が海外時間に効けば159円方向。介入・会見・米金利が今夜1カ所でぶつかります。

5. 地政学。WTI原油は82.09ドル(-1.79%・16:15頃)。ホルムズ海峡の交渉報道とガザの武装解除合意で緊張はやや緩和しましたが、7/30(木)の米軍によるイランへの報復空爆から48時間以内で、夜間の応酬再燃リスクは残ります。

翌営業日への構え

日経平均は旧レンジの下限だった64,141円を終値で回復し、下値探索はいったん終了した形です。ただし上げ幅の93%が上位5銘柄、値下がり922銘柄という中身の薄さは持続性リスクとして残ります。

今夜の米国次第で符号が変わるものは2つ。ひとつは半導体で、SOXが前夜の終値の上か下か。上なら週明けも半導体主導が続き、医薬品・陸運・小売が原資として売られます。下なら今日の+4%は「アジアの過剰な増幅の巻き戻し」として剥落し、薄さが逆回転しかねません。もうひとつは為替で、160.86円(半値戻し)を上抜けて定着するか。加えて東京要因では、キオクシアが今日は値がついていないため、週明けの寄りが決算に対する最初の値決めになります

主要出典


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