ブロードコムがAI半導体2年で4倍、米金利低下でダウ反発 — マーケットブリーフィング 2026-09-03(木)
⚠️ 持ち越し注意
本日いちばんの国内イベントは30年国債の入札です。結果は12時35分前後に出ます。
9月1日(火)の10年国債入札が「やや低調」と受け止められ、そこから2営業日の金利上昇と全面安が始まりました。超長期は需給が薄く、テール(平均落札価格と最低落札価格の差)が開けば後場に金利が跳ねやすい構図です。同じ形が繰り返されるかどうかが、今日の後場の分岐点になります。
海外は21時30分に米新規失業保険申請件数(予想20.5万件/前回20.3万件)と米7月貿易収支、23時に米8月ISM非製造業景況指数(予想54.3/前回54.1)。ウォラーFRB理事も討論会に登壇します。
そして明日9月4日(金)21時30分に米8月雇用統計。ADP雇用統計が予想を下回った直後だけに、下振れした場合は「金利低下」と「景気減速」のどちらとして受け取られるかで符号が変わります。9月7日(月)は米レイバーデーで米国市場が休場です。
センチメント
CNN Fear & Greed指数は**33.80で「Fear」**でした(9月2日時点、MacroMicro掲載のCNN系列)。9月1日朝時点の50(Neutral)から16ポイント低下しています。CNNの本家ページは今回も取得できませんでした。
日経平均ボラティリティー指数(日経VI)は、日経平均プロフィルの公式ヒストリカルデータで9月1日(火)の確定終値が25.98と確認できました。9月2日(水)分は7時20分時点で未配信です。米VIXは15.20(-6.98%)まで低下しました。
日米のボラティリティーの差は9月1日基準で9.64ポイント。8月28日の8.82ポイントからは開いていますが、8月31日の12.93ポイントからは縮んでいます。日経VIが30を大きく下回っている以上、「買い場の兆候あり」と呼べる水準ではありません。
前営業日の仮説と検証
9月2日(水)は朝版を配信できなかったため、当日に立てた仮説はありません。前回9月1日(火)提示分の判定は9月2日夕方の記事で済ませており、残っていたのは「今夜の米国待ち」としていた項目だけです。それを回収します。
日経VIの確認 — 9月1日の確定終値は25.98で、夕方時点の暫定値と完全に一致しました。ザラ場の表示値で水準を判定せず公式データで突き合わせる運用は、これで20回連続で機能しています。
SOX(フィラデルフィア半導体株指数) — 弱気相場圏の境界である11,724.23を9月1日(11,288.61)、9月2日(11,339.25)とも下回ったままで、8月28日以降4営業日連続で圏内です。境界まで385.0ポイント。順行はしていません。
WTI原油 — 90ドル台の維持という条件は達成しました。9月1日90.22ドル、9月2日91.01ドル(10月限)。ザラ場では一時92ドル台と7月下旬以来の高値圏に乗せています。観測点は「91ドル台の維持」へ引き上げます。
なお「原油が80ドルを割れたら無効化」としていた中期仮説は、条件からさらに遠ざかったため継続です。
主要ニュース
1. 米8月ADP雇用統計が+3.8万人 — 予想の+4.7万人を下回り、7月の+4.6万人から伸びが鈍化しました。1月以来の低い伸びです。米10年債利回りは4.78%から4.76%へ低下しました(NY引けの確定値は取得できず)。
2. ウィリアムズNY連銀総裁の発言 — インフレについて「緩やかな鈍化基調」、金利は「良い位置にある」と述べ、利上げ観測が後退しました。これを受けてドル円は159円72銭から158円22銭まで下落しています。
3. ブロードコムの決算とAI半導体見通し — 5〜8月期は営業利益が2.7倍で4四半期連続の最高更新、売上高も12四半期連続で過去最高でした。第4四半期の売上高見通しが予想を下回り時間外は一時下落しましたが、タンCEOが説明会でAI半導体売上高を26年度580億ドル(従来560億ドル)、27年度1,150億ドル、28年度2,300億ドルと提示して切り返しました。
2年でおよそ4倍という数字で、会社側は必要な供給能力をすでに確保していると説明しています。台湾・韓国の半導体サプライチェーンにも波及しうる内容です。
4. NY金が3日続落を止める — 9月2日に約4,434ドル(+0.86%)へ反発しました。9月1日の-85.1ドルという続落が、翌日の東京で非鉄金属を業種最下位に沈めた直接の引き金だったため、方向が変わった意味は小さくありません。
過去の類似局面
いま起きているのは「地政学プレミアムの再燃」と「長期金利の上昇」が同時に走る複合局面です。過去の単独ショックとは初期条件が違うため、単純な当てはめはできません。
ひとつ具体的な観察として、9月2日(水)の東京はWTIが90ドル台に乗った日でありながら、鉱業が-2.25%と下落しました。前日9月1日(火)には鉱業が+3.81%(33業種2位)だったので、符号が1日で反転したことになります。
「原油高なら資源株高」という単線は、90ドル前後の水準では機能しなくなる可能性があります。原油高がインフレ懸念と金利上昇を招き、その金利上昇が株式全体を押し下げて資源株まで巻き込む、という自己打ち消しの経路が働くためです。過去の値動きは将来を保証しませんが、水準によって連想の効き方が変わる点は覚えておく価値があります。
資金フロー
9月2日(水)の東京は「どこかへ資金が向かった」日ではなく「どこからも抜けた」日でした。33業種すべてが下落し、プライムの値下がり銘柄は全体の92%。売買代金上位50銘柄のうち上昇したのはわずか1銘柄です。
それでも相対的な差ははっきり出ました。売られなかった順に水産・農林業、海運業、銀行業、医薬品、保険業。最も売られたのは非鉄金属(-5.04%)、サービス業(-4.15%)、ガラス・土石(-4.00%)、電気機器(-3.59%)、輸送用機器(-3.41%)です。金と銅の市況、高PER、AI設備、利払い負担の4つが直撃した形でした。
そしてその夜、東京を壊した3つのドライバーが同時に緩みました。原油は91.01ドルへ上昇したものの上げ幅は+0.88%にとどまり、金利はADPとウィリアムズ発言で低下し、株はダウが4日ぶり、SOXが2営業日ぶりに反発しています。
★ただし緩んだだけで、方向が変わったわけではありません。WTIは90ドル台に居座り、SOXは弱気相場圏の内側にとどまったままです。
米国内の配分は「半導体・同製造装置が上昇、ソフトウエア・サービスが下落」。8月28日夜はソフトが20%前後の急騰、8月31日夜はメガキャップのクラウド勢が逆行高、9月1日夜はSOXだけが逆行高でした。AI関連の内部序列は4営業日で3回入れ替わっており、方向を当てる材料としては使えません。使えるのは銘柄間の感応度の差だけです。
前営業日の日本市場(9/2(水))
日経平均は**64,325.64円(-1,889.70/-2.85%)**で3日続落。始値65,195.43円がそのまま高値、安値は64,215.47円(一時1,999円安)で、寄り値から引け値までは-869.79円でした。
TOPIXは4,081.60(-100.26/-2.40%)、NT倍率は15.7599。プライムの値上がり100・値下がり1,436、出来高24億1,905万株、売買代金8兆344億円。グロース250指数は777.48(-22.61)でした。
寄与度は、プラス上位5銘柄(第一三共・塩野義・住友ファーマ・伊藤忠・セブン&アイ)の押し上げが合計で約11円だったのに対し、マイナス上位5銘柄(ソフトバンクG・アドバンテスト・東京エレクトロン・リクルート・TDK)の押し下げが約875円。指数の下げは値がさ株に極端に集中していました。
米国市場(2営業日分)
9月1日(火)
NYダウ52,766.88ドル(-419.02/-0.79%)で3日続落。S&P500は7,631.47、ナスダック総合は26,099.77(約-271ポイント)。**SOXは11,288.61(-246.44/-2.14%)**で、52週高値比-22.97%でした。
米8月ISM製造業景況指数は54.6(予想55.2/7月55.6)と低下、7月のJOLTS求人件数は727.1万件、離職率は1.9%と2.0%の目安を下回りました。ただしこの日は地政学と原油が主役で、指標の弱さは金利低下に結びついていません。
9月2日(水)
NYダウ**53,061.95ドル(+295.07/+0.56%)**で4日ぶり反発。S&P500は7,666.60(+0.46%)、ナスダック総合は26,217.83(+0.45%)。
**SOXは11,339.25(+50.64/+0.45%)**で2営業日ぶりに反発しましたが、52週高値比-22.63%で弱気相場圏内は4営業日連続です。境界の11,724.23までは385.0ポイントあります。
個別ではエヌビディア224.41ドル(+3.21%)がAI企業の買収報道で買われ、デルは492.20ドル(+15.81%)。AIサーバー受注の急増で通期見通しを引き上げました。一方でパロアルト・ネットワークス(-9.28%)、モンゴDB(-13.54%)、クレド・テクノロジー(-20.04%)は、いずれも好決算ながら高い期待に届かず売られています。
米VIXは15.20(-1.14/-6.98%)。CME日経平均先物は64,610円で大証終値比+260円、現物終値比では+284円です。大阪取引所の夜間取引終値は64,480円(+130円)でした。
アジアでは9月2日に韓国KOSPIが6,562.72(-273.08/-3.99%)と急落しており、東京の半導体には逆方向の重しとして残ります。
為替
ドル円は158.72円(-1.45/-0.91%)。NYでは159円72銭から158円22銭まで下げました。ユーロ円は183.93円(-1.76/-0.95%)です。
国内10年債利回りは9月2日に3.015%と1996年9月以来の水準へ。9月3日の水準は本日の30年債入札の結果次第です。
注目銘柄5
母集団についてお断りです。売買代金ランキングの引け後確定値が取得できなかったため、9月2日11時48分断面の上位20と、大引けの市況記事にある値上がり/値下がり率上位10・寄与度上位5・個別材料株で母集団を補いました。
アドバンテスト(6857) — 相対(方向未確定)
後工程テスタはAIアクセラレータとHBMの「数量」に直結します。ブロードコムがAI半導体売上高を28年度2,300億ドルに置いたことは、カスタムASICのテスト工程数量の前提を引き上げる材料です。9月2日夜の米国では半導体・同製造装置が上昇セクター、ソフトが下落セクターと、前夜とも配分が反転しました。
PER35.7倍・PBR22.6倍(9月2日11時48分断面)、信用倍率1.00倍で需給は中立。9月2日は寄与度マイナス2位でした。
方向ラベルは付けません。ブロードコムの材料は東京の寄り付きのギャップで織り込まれてしまうため、測るべきは東京エレクトロンとの騰落率の差です。東エレクは前工程で設備投資サイクル全体に連動し、単一顧客のASIC計画への感応度はアドバンテストのほうが高い。差の実測は8月26日から+3.47/-3.95/+1.50/-4.85/+1.67/+0.88ポイントで7回目に入ります。決算日は未確認(10月下旬見込み)。
キオクシアHD(285A) — 相対(方向未確定)
NAND超サイクルとサンディスクとの大型投資が中期のドライバーですが、足元で効いているのはTOPIXの浮動株比率の定期見直しです。適用は2026年10月末と11月末の2段階(JPX)。9月2日は全面安のなか唯一「変わらず」で引け、日経平均を2.85ポイント上回りました。
指数連動の受動的な買いは地合いの良し悪しで意思決定しないため、下げの日には相対的に浮きます。裏を返せば、地合いが反発に向かう日にはその優位が消えます。
PBR11.3倍、信用買残16,165,800株・倍率35.37倍(8月28日時点)。9月2日の売買代金1兆3,324億円は全市場1位でプライム全体の16.6%。9月30日が1対3分割の基準日です。同じNAND大手のサンディスクは指数イベントを持たないため、全面安の日ほど両者の差が開きます。決算日は未確認。
住友金属鉱山(5713) — 短期 🔼追い風(弱)/中期 🔼追い風(要点検)
9月2日は-11.55%でプライム下落率2位。引き金は9月1日のNY金-85.1ドル(3日続落)という単一材料でした。利息を生まない資産が金利上昇で最初に売られる、という教科書どおりの順番です。
その金が9月2日夜に+0.86%へ反発し、3日続落が止まりました。下げが住友鉱・日鉄鉱業・三菱マテリアルという資源側の数銘柄に集中していたぶん、売り一巡感は出やすい局面です。
8月28日時点の週間ランキングでは非鉄金属は+2.65%で5位。単日33位と週間5位の乖離が最大の業種でもあります。三菱マテリアルは銅・タングステンの市況と在庫評価益の比重が高く、金価格そのものへの感応度は住友鉱のほうが高い、という違いがあります。
PER・PBR・信用残は今回取得できませんでした。決算日も未確認。中期を「要点検」としたのは、金利上昇が続くかぎり構造的な逆風が残るためです。
リクルートHD(6098) — 相対(方向未確定)
Indeedが米求人市場に連動するため、ADPが+3.8万人と鈍化したことは業績チャネルには逆風です。一方でウィリアムズ発言による米長期金利の低下は、PER30.7倍・PBR13.0倍という日経採用の高PER代表にとって割引率の追い風になります。逆向きのドライバーが2本立つため方向は張りません。
8月31日の18,215円から9月2日の16,355円まで2営業日で-10.21%、2営業日連続の安値引け。9月2日はサービス業の-4.15%をさらに2.37ポイント下回っており、業種要因では説明しきれない下げ幅です。
急騰の翌日は反動が出やすいという経験則はこれまで上向き専用でしたが、急落側で同じ対称性が働くかは未検証です。今日はそこを測ります。決算日は未確認で、明日の米雇用統計が直撃します。
三菱UFJ(8306) — 短期 🔼追い風(弱)/中期 🔼追い風(中)
国内10年債3.015%という1996年9月以来の金利水準が貸出利ざやを支えます。貸出資産と国債保有はメガバンク最大級。
9月2日の全面安で銀行業は-0.66%の33業種3位(下から3番目の底堅さ)、同社は-0.43%で業種を0.23ポイント、日経平均を2.42ポイント上回りました。「金利上昇は銀行株の追い風」は、株価上昇ではなく“相対的に売られにくい”という形でのみ残っています。
PER15.3倍・PBR1.83倍・利回り2.61%。信用買残34,793,600株・倍率14.91倍(8月28日時点)で、8月21日の21.04倍から低下しており上値のしこりは軽くなりました。時価総額43兆7,206億円。
本日の30年債入札が直撃します。三井住友FGは海外・市場部門の比率が高く米金利に振れやすい銘柄で、9月2日は三菱UFJが優越しました。ただし9月1日に長期金利が3%に乗った日、銀行業は33業種21位にとどまり保険業(8位)に順位を譲っています。比較軸は「銀行 ⇔ 保険」にも広げて見ます。決算日は未確認。
前回から外した銘柄
INPEX(1605)を外しました。9月2日の確定終値は4,051円(-61/-1.48%)で、鉱業を0.77ポイント、日経平均を1.37ポイント上回りましたが下落は免れていません。前夜のWTI変動率が+0.88%で、原油の値動きを翌日の業種騰落に移植する条件(±2%)を満たさなくなったことが理由です。加えて9月2日に「原油高=鉱業高」の単線が崩れたことを実測しました。
上値余地と下値リスク
アドバンテストの目標株価は、7月27日設定のコンセンサス平均35,395円が最後に確認できた値です。1週間を超え、エヌビディアとブロードコムの決算をまたいでいるため「保守的な下限」としてのみ扱います。最新のコンセンサスは取得できませんでした。
キオクシアHDは6月19日設定の93,531円が陳腐化しており数字には使いません。下値の目安は8月28日の安値47,800円です。
住友金属鉱山とリクルートHD、三菱UFJの目標株価はいずれも取得できませんでした。事実として、リクルートが8月31日の水準に戻すには+11.4%が必要で、三菱UFJは年初来高値3,813.0円(7月27日)まで約3.5%です。
本日・今週の注目イベント(日本時間)
- 9/3(木) 8:50 対外・対内証券投資/9:30 日・8月総合PMI(前回53.4)・サービス業PMI(52.3)
- ⚠️ 9/3(木) 国内30年国債入札(結果12:35前後)
- 9/3(木) 17:00 ユーロ圏サービス業PMI確報(51.7)/18:00 ユーロ圏PPI(7月・4.6%)
- 9/3(木) 21:30 米・新規失業保険申請件数(予想20.5万件)・米7月貿易収支(予想-745億ドル)
- ⚠️ 9/3(木) 23:00 米8月ISM非製造業景況指数(予想54.3/前回54.1)、ウォラーFRB理事が討論会に参加
- ⚠️⚠️ 9/4(金) 21:30 米8月雇用統計
- 9/6(日) 国民民主党代表選 投開票
- 9/7(月) 米レイバーデー(米国市場休場)
- ⚠️ 9/15(火)-16(水) FOMC(現地)
- ⚠️ 9/17(木)-18(金) 日銀金融政策決定会合
- 9/21(月)敬老の日・9/22(火)国民の休日・9/23(水)秋分の日=東京市場休場
- 9/30(水) キオクシアHDの1対3分割、TOPPAN・テラドローンの1対2分割の各基準日
日銀短観(9月調査)の10月初の日程と、9月メジャーSQの正式日程は引き続き確認できていません。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。掲載している数値・情報は執筆時点で確認できたものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。
主要出典
株探/MINKABU PRESS「ダウ平均は4日ぶり反発 ナスダックも上昇=米国株概況」(9/3(木) 5:39)/株探/フィスコ「NY株式:NYダウは295.07ドル高、ハイテクがけん引」(9/3(木) 6:30)/株探「ブロードコム、時間外でプラスに転じる」(9/3(木) 6:38)/株探「【↓】日経平均 大引け」(9/2(水) 18:29)/株探米国株 SOX日足時系列(9/3(木) 6:13現在)/日経平均プロフィル 日経VI日次データ/Investing.com フィスコ「9月2日のNY為替・原油概況」(9/3(木) 4:35)/共同通信「NY原油続伸、終値91ドル台」/日本取引所グループ「TOPIXの見直し」