半導体4日ぶり反発、3連休明け東京は買い戻し先行か — マーケットブリーフィング 2026-07-21
⚠️ 持ち越し注意(本日〜今週)
- 7/22(水)8:50 日本6月貿易統計
- ★7/22(水) SKハイニックス決算(メモリの本尊。日本の半導体に同日〜翌日で波及しうる)
- ★7/22(水)米引け後 アルファベット決算(日本時間7/23 5:30頃)。AI設備投資(capex)ガイダンスが今週最大の分岐
- 7/22(水) テスラ・IBM・ServiceNow / 7/23(木) インテル
- 7/23(木)21:15 ECB理事会(据置予想)+ラガルド総裁会見21:45
- ⚠️7/24(金)8:30 日本6月全国CPI(コア)(市場予想 前年比+1.6%・前回+1.4%)
- 7/24(金) 欧米7月PMI速報
- ⚠️**【最重要指標・1週間以内】7/28-29 FOMC**(結果は7/30 3:00・ウォーシュ議長会見3:30。今回は経済見通し[ドットチャート]の公表なし)
- その後: 7/29 アドバンテスト決算・マイクロソフト・メタ / 7/30 アップル・アマゾン / 7/30-31 日銀金融政策決定会合 / 7/31 キオクシア決算 / 8/7 米雇用統計 / 8/12 米CPI(7月分)=米労働統計局の公式カレンダーで確定
3連休明けの本日と、その翌日に今週最大のイベントが控える構図です。ポジションを翌日に持ち越す場合は7/22の決算2本を意識しておきたいところです。
センチメント
- 日経平均ボラティリティー指数(日経VI)40.06(7/17時点。7/20は東京休場で更新なし)。30超が続いており、経験則上は「悲観が過度に傾いた=買い場の兆候」を示すゾーンです。
- CNN Fear & Greed Index 37「Fear(恐怖)」(7/17時点)。7/20も恐怖ゾーンにとどまったと報じられていますが、当日の具体値は確認できませんでした。極端な恐怖(25未満)には未到達です。
いずれも「悲観に傾いている」ことは示しますが、下落の原因が悪材料起因の場合は買い場シグナルが即効しないことも過去には多く、単独では判断材料になりません。
前日の仮説と検証
7/20(月)は海の日で東京市場が休場だったため、7/18・7/20に提示した仮説(0721-1〜8)はいずれも検証対象のセッションが到来しておらず、本日7/21の引け後に一括して判定します(休場日をまたいで後付けで「当たった」ことにしない運用です)。
特に注目しているのは、方向が正反対の2つの対抗仮説です。
- 0721-1 「3連休中の悪材料(SOX弱気相場入り・米イラン戦継続・原油82ドル)を織り込み、7/21の寄りは大幅安スタートで64,141円を下回る場面。ただし日経VI40超の過度な悲観から寄り安後は下げ渋る」
- 0721-6 「先物の越週水準が現物を約1,000円上回っており、寄りは前日終値64,141円を上回る"寄り高"スタート。ただし翌7/22の決算を控え、寄り後は伸び悩みやすい」
どちらも原文のまま残し、本日の寄値・終値で厳格に判定します。中期の経過観察 [0721-5] 「買い場ライン66,819円は割れたが、日経VI40超とSOXの弱気相場入りは"調整局面入り"と整合。新たな下値メドは固定せず、7月末の決算・中銀イベントを決着点として底練りの有無を観察する」も継続中です。
主要ニュース(過去24時間)
- 米イラン=仲介国が「10日間の攻撃停止」案をイランに提示。交渉再開の観測から、米国時間に原油が一時値を消す場面がありました。これまでの「ホルムズ海峡の任意サービス料」案から一段具体化した外交の芽です。ただしイラン側の受諾は未確認。影響=🔼空運・内需/🔽原油・海運・防衛(受諾が確認された場合)。
- イエメンの親イラン武装組織フーシが、サウジアラビアに対し紅海を念頭に「海上封鎖」を即時実施すると宣言(7/20)。ホルムズ海峡以外にも事実上の封鎖が広がれば中東からの供給がさらに細るとの見方から、原油の押し上げ要因になりました。影響=🔼原油・海運運賃/🔽空運・コスト高が響く内需。1と2が真逆の方向で同日に出ている点が今の中東の特徴です。
- 米半導体・メモリ株の買い戻し。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4営業日ぶりに反発し、マイクロン+5%、サンディスク+6%、ウエスタンデジタル+4%、AMD+4%と、特にメモリ関連の戻りが目立ちました。7/22のSKハイニックス決算とアルファベットのcapexガイダンスを前にした先回りの買い戻しという整理ができます。
- 米10年債利回りが4.582%へ上昇(+4bp)。原油高がインフレ懸念を通じて金利を押し上げ、ダウやラッセル2000など非ハイテクの重しになりました。
- 韓国市場が3連休明けで再開し、KOSPIは-4.46%。ただしこれは7/17に韓国が休場だった分の"遅れた織り込み"で、その後の米国時間には半導体が反発しています。
過去の類似局面
現在は「SOXが直近ピークから-20%の弱気相場入りをした直後の自律反発初日」という局面です。過去の参照例は3系統あります。
- 2026年6月5日: 雇用統計の上振れでSOXが単日-10.3%(2020年3月のコロナショック以来の下落率)。しかし6月15日には史上最高値を更新し、約7営業日で全戻ししました。
- 2026年2〜3月(米イラン戦争の第1波): SOXは3月30日の安値7,142.33から、4月の停戦を経て6月3日に13,916.96まで約2ヶ月で+95%。当時の悲観は結果的に絶好の買い場でした。
- 統計(証券会社レポート): 1995年以降、SOXが1日で5%以上下落した場面は177回あり、1ヶ月ほどの一進一退を挟んだ後に株高基調へ戻る傾向が示されています。
一方で、今回と過去の初期条件の違いも押さえておく必要があります。今回は(a)インフレ下で米連邦準備制度理事会(FRB)・日銀がともに引き締め方向、(b)下落の引き金が「決算の悪化」ではなく「AI設備投資の持続性への疑念」という答えの出にくい論争、(c)個別企業の特許敗訴という悪材料が複合している、という3点で、単独要因のショックより戻りに時間がかかる可能性があります。過去の事例は将来を保証しません。
資金フロー ― どこから抜け、どこへ向かうか
7/20の米国市場は、**「半導体・メモリ内部での買い戻し」対「原油高・長期金利上昇による非ハイテクの重さ」**という分離が鮮明でした。SOXが+2.16%と反発する一方でダウは3日続落、小型株のラッセル2000も-0.67%です。指数全体のリスクオンではなく、売られすぎたセクターへの資金の戻りと読むのが素直でしょう。
米国のセクターローテーションは日本の同業を1営業日先行する傾向が、この1ヶ月で繰り返し確認できています。それを日本に移植すると、本日の見立ては次の4点になります。
- 半導体・メモリ(装置・テスタ・NAND)に自律反発の追い風。特にメモリ市況に直結する銘柄への波及が速いと考えられます。
- ディフェンシブ内需(医薬・食品・小売)への退避資金は解消されやすい。7/16〜7/17に退避先として物色された資金は、半導体が反発する日にはその当日のうちに戻される「レンタル資金」の性格が強い、というのが直近2回の観察です。
- 原油バーベル(海運・鉱業・石油関連が🔼、空運・電力が🔽)は維持。ただし停戦案が受諾されれば符号が反転します。
- 金利上昇で銀行に追い風が戻る。7/17は長期金利の低下で銀行業が33業種の下落下位に沈み、金利ドライバーが一時剥落していました。米10年債の上昇と、7/24の日本CPIによる追加利上げ観測がこれを戻す方向に働きます。
ただし、「SOXの方向が継続する」という前提には賭けないのがこれまでの教訓です(上下いずれの方向でも、継続を前提にした仮説は的中率が落ちます)。今回の反発も現時点では単日で、決着は7/22の2本の決算に持ち越されます。
前日の日本市場(7/17)
- 日経平均 64,141.12円(-2,694.42円/-4.03%) の歴史的な暴落。下げ幅は歴代5位、週間の下げ幅4,416円は過去最大でした。
- 33業種の上昇上位=海運・医薬品・水産農林・食料品・小売業/下落下位=非鉄金属・金属製品・電気機器・ガラス土石・銀行業。
- 半導体大手が指数を押し下げる一方、ディフェンシブ内需が逆行高となる典型的な退避パターンでした。
米国市場(7/20)
- ダウ 51,839.26(-307.16/-0.58%)3日続落
- S&P500 7,443.28(-14.41/-0.19%)
- ナスダック総合 25,508.07(-12.17/-0.05%)
- フィラデルフィア半導体株指数(SOX)11,926.19(+252.31/+2.16%)= 4営業日ぶりの反発。6/22の過去最高値14,634.72比では**-18.5%**となり、弱気相場の目安である-20%をひとまず1営業日で回復しました。
- ラッセル2000 2,942.43(-19.79/-0.67%)、米10年債利回り 4.582%(+4bp)
- 原油(WTI)は83ドル台へ続伸し、19日夜には一時85ドル台と6月中旬以来の高値をつけました。
為替
- ドル円 162円50〜51銭(7/21 7:00時点・前日比0.22銭の円高)
- ユーロ円 185円43〜47銭(同・0.31銭の円安)
ドル円は162円台前半での膠着が続いており、本日の日本株にとって為替は中立要因です。
注目銘柄5
対象は前回取引日(7/17)の東証プライム売買代金上位100銘柄のうち「目立った動き」をしたもの。7/20は東京が休場だったため母集団は7/17のままですが、米国・韓国の新規セッションを踏まえて方向ラベルと構成を入れ替えています。売買を推奨するものではなく、注目理由の説明にとどめます。最終的な判断はご自身でお願いします。
1. アドバンテスト(6857) 短期 🔼追い風(中・要点検)/中期 🔼追い風(要点検)
- 中期の構造ドライバー: AI向け半導体のテスト需要。特にHBM(広帯域メモリ)や先端パッケージの検査工程は、AIサーバー投資が続く限り数ヶ月単位で効き続ける需要です。
- 資金フローとの関係: SOX+2.16%・AMD+4%という米国の買い戻しが最も直接的に効くポジション。7/17は日経平均への寄与度下位=売られた側で、戻り局面の受け皿になりやすい位置にあります。
- 感応度の根拠: 売上の大半が半導体テスタで、極めて高い感応度。だからこそ下げ局面でも戻り局面でも振れ幅が最大になります。
- 本日のトリガー: 米半導体株の4営業日ぶりの反発。
- 同業比較: 東京エレクトロンが前工程の製造装置(WFE)全般を扱うのに対し、アドバンテストは後工程のテスタでHBM・AI向けに集中している分、AI期待の戻りに強く振れます。逆に東京エレクトロンは増産投資サイクルの持続性に効くタイプです。
- イベントリスク: ⚠️決算7/29(水)15:30が接近。加えて7/22のSKハイニックス決算・アルファベットcapexが前哨戦になります。
2. キオクシアホールディングス(285A) 短期 🔼追い風(弱・要点検)/中期 🔼追い風(要点検)
- 中期の構造ドライバー: NAND型フラッシュメモリの需給。AIデータセンター向けストレージ需要が中期の柱です。
- 資金フローとの関係: 米国でマイクロン+5%、サンディスク+6%、ウエスタンデジタル+4%とメモリ株が一斉に戻しており、NANDスポット市況の読み替えが最も直撃する銘柄です。7/17は2日連続ストップ安・下落率1位(52,110円)で、需給整理が進めば自律反発の余地があります。
- 感応度の根拠: 純粋なNAND大手でスポット価格に直結する極高感応度。事業分散がない分、市況の方向にそのまま振れます。
- 本日のトリガー: 米メモリ株の急反発。
- 同業比較: SUMCOはシリコンウエハという川上で、市況の変化がワンテンポ遅れて業績に出ます。キオクシアは完成品スポットに即時連動するため、戻りも下げも速いのが違いです。
- イベントリスク: ⚠️米連邦地裁での特許侵害評決(賠償約2.29億ドル・同社は控訴方針を表明)による需給悪化、決算7/31(金)15:30、そして7/22のSKハイニックス決算。逆風は残存しているため方向ラベルは「弱」にとどめています。
3. 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 短期 🔼追い風(弱・要点検)/中期 🔼追い風(中)
- 中期の構造ドライバー: 日銀の追加利上げ路線(6月に1.0%へ利上げ済)と、米国のhigher-for-longer(高金利長期化)。金利上昇局面の利ざや改善は数ヶ月〜数年の構造テーマです。
- 資金フローとの関係: 7/17は長期金利の低下で銀行業が33業種の下落下位に沈み、金利ドライバーが一時剥落していました。米10年債が4.582%(+4bp)へ戻したことで、この資金の流れが復帰する可能性があります。
- 感応度の根拠: 金利が本業のコア収益源で高感応度。株価純資産倍率(PBR)は1.6倍台、予想PERは14倍台の水準です(7月中旬時点)。
- 本日のトリガー: 米長期金利の上昇と、**7/24の日本6月全国CPIコア(予想+1.6%)**という追加利上げ観測の触媒の接近。
- 同業比較: 三井住友フィナンシャルグループとはほぼ連動しますが、三菱UFJは海外(米州)比率が高く、米金利上昇の恩恵をより受けやすい構造です。
- イベントリスク: 7/24の日本CPI、7/30-31の日銀会合。決算日は未確認です。
4. 日本郵船(9101) 短期 🔼追い風(弱・要点検)
- 中期の構造ドライバー: 地政学リスクによる海上運賃・用船料のプレミアム。迂回航行が常態化すれば数ヶ月単位で効きます。
- 資金フローとの関係: 7/17は海運が33業種の上昇トップで、暴落局面でも資金が向かった数少ないセクターでした。
- 感応度の根拠: コンテナ・自動車船・航空を含む運賃市況と地政学プレミアムに感応します。
- 本日のトリガー: フーシによるサウジアラビアへの「海上封鎖」宣言(7/20)で、ホルムズ海峡以外にも封鎖が拡大するリスクが浮上。原油も83ドル台へ続伸しました。
- 同業比較: 商船三井はLNG船・タンカーの比率が高く、ホルムズ・紅海有事の運賃感応度は商船三井の方が高い構造です。日本郵船はコンテナ+航空で相対的に分散しています。
- イベントリスク: ⚠️**「10日間の攻撃停止」案の受諾ヘッドラインが出れば素直に🔽逆回転**します。だから方向ラベルは「弱」にとどめています。決算日は未確認です。
5. 中外製薬(4519) 短期 🔽逆風(弱)/中期 方向未確定
- 中期の構造ドライバー: 半導体市況との連動が低い純内需ディフェンシブ。ロシュ傘下の開発・ロイヤリティ収益モデルという構造自体は不変です。
- 資金フローとの関係: 7/16・7/17と2日連続で日経平均への寄与度上位=退避物色の中核でした。ただし退避先の資金は、半導体が反発した"その日のうちに"戻される「レンタル資金」の性格が強いというのが直近2回の観察です。本日は半導体の自律反発局面のため、相対的に劣後する側に置いています。
- 感応度の根拠: SOX指数との連動度が低いことが、ショック時の耐性と反発時の劣後の両方の理由になります。
- 本日のトリガー: 米半導体株の反発による退避解消。
- 同業比較: 第一三共はADC(抗体薬物複合体)の自社品の進捗に振れるのに対し、中外はロイヤリティと為替が効きます。ただし退避解消の局面では両者ほぼ連動します。
- イベントリスク: 決算日は未確認(例年7月末)。再びショックが来れば🔼側に戻る二面性がある点には留意が必要です。
構成: 半導体2・銀行1・海運1・医薬1(同一業種は最大2、半導体/AI関連は最大2のルールを順守)。🔼4/🔽1。前回からセブン&アイ・ホールディングスを外し、金利ドライバーの復帰を受けて三菱UFJを組み入れました。
上値余地・下値リスクについて
各銘柄の目標株価は、株価が急変した局面では既存のアナリスト予想が陳腐化しやすく、今回は多くが「取得不可」または「陳腐化の可能性あり」の状態です。特にキオクシア、アドバンテストは直近の急落・急騰で従来のコンセンサスと株価が乖離しており、目標株価をそのまま使うことはできません。事実として押さえられるのは以下です。
- キオクシア: 上場来高値112,700円に対し7/17終値は52,110円と半値以下。ただし賠償評決や決算という個別の逆風が残るため、割安・割高の判断は決算内容を待つ必要があります。
- アドバンテスト: 7/15時点で31,070円。決算(7/29)前で目標株価の見直しが入りやすい時期です。
- 三菱UFJ: 7/14時点で3,600円。予想PER14倍台・PBR1.6倍台(7月中旬時点)で、金利上昇局面としては過熱感は限定的な水準です。
- 日本郵船・中外製薬: 直近の目標株価は確認できませんでした。
いずれも事実の整理にとどめるもので、今後の株価を保証するものではありません。
本日・今週の注目イベント(日本時間)
| 日時 | イベント |
|---|---|
| 7/22(水) 8:50 | 日本 6月貿易統計 |
| 7/22(水) 15:00 | 英 6月CPI |
| 7/22(水) | ★SKハイニックス決算 |
| 7/22(水) | テスラ・IBM・ServiceNow 決算 |
| 7/23(木) 5:30頃 | ★アルファベット決算(米22日引け後) |
| 7/23(木) 21:15 | ECB理事会(据置予想)・21:45 ラガルド総裁会見 |
| 7/23(木) | インテル決算 |
| 7/24(金) 8:30 | ⚠️日本 6月全国CPI(コア)(予想+1.6%) |
| 7/24(金) | 欧米 7月PMI速報 |
| 7/28-29 | ⚠️FOMC(結果7/30 3:00・会見3:30・ドットチャートなし) |
| 7/29(水) 15:30 | アドバンテスト決算 / 米: マイクロソフト・メタ |
| 7/30(木) | アップル・アマゾン決算 |
| 7/30-31 | ⚠️日銀金融政策決定会合 |
| 7/31(金) 15:30 | キオクシア決算 |
| 8/7(金) 21:30 | ⚠️米雇用統計(7月分) |
| 8/12(水) 21:30 | ⚠️米CPI(7月分) |
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。掲載している数値・情報は執筆時点で確認できたものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。